幸区にゆかりのある戦国武将、太田道灌をNHK大河ドラマに、という運動が広がりを見せる。8月21日にはNHKに約21万筆の署名をもって要望も行われた。川崎市では市観光協会、商議所、市商連が運動に加わり署名活動を展開している。
太田道灌(1432〜86)は室町時代後期の武将で江戸城を築城したことで知られる。室町幕府の命を受け、加瀬山に城を築こうとしたが、この地で白鷲に兜を持ちさられる「不吉な夢を見た」ことで築城を断念。その後江戸に城を建てたと言われる。「夢見ヶ崎」の地名は道灌のこの夢が由来とされる。
太田道灌を大河ドラマにという運動は、道灌終焉の地、伊勢原市で2014年に市民運動として始まった。同市は「伊勢原観光道灌まつり」を行うなど、市をあげて道灌を盛りあげている。運動は徐々に道灌ゆかりの自治体に広がり、道灌生誕の地・埼玉県越生町をはじめ、江戸城築城の際に石が切り出された東伊豆町など賛同自治体は25に及ぶ。署名は47都道府県から集まっている。
川崎市では深瀬武三川崎市商店街連合会会長が2012年当時、日吉商店街連合会会長として「日吉まつり〜道灌祭〜」を縁に伊勢原市商店会連合会と連携し、以来交流を図ってきた。今年、市商連会長に就任したことを機に川崎市観光協会(斎藤文夫会長)、川崎商工会議所(山田長満会頭)にも呼びかけ、オール川崎としての動きに発展させた。
NHKに要望書
太田道灌をNHK大河ドラマに!推進実行委員会(三上利栄実行委員長)は8月21日、NHK制作局に署名21万6856筆とあわせ、大河ドラマ実現にむけた要望書を提出した。
川崎市からは深瀬武三市商連会長、青木茂夫川崎市観光協会専務理事、相沢弘茂川崎商工会議所部長の3人が出席した。
ほかには太田道灌の子孫の太田資暁(すけあき)氏、 高山松太郎伊勢原市長ら27人が訪れた。
要望活動は今年で4回目。出席者によると、NHK制作局長は年々増える署名の数や賛同自治体の広がりに敬服し、熱意には頭が下がるとしながらも、要望に対しては検討中と述べるにとどまったという。
実行委員会は今後、署名を30万筆まで伸ばしていく意向だ。
深瀬会長は「ドラマ化が実現すれば川崎の大きな宝となる。これまで以上に、夢見ヶ崎動物園祭りや商店街のイベント、区民祭などでの署名活動に力を入れる」と意気込む。観光協会の斎藤会長は「砂子の里の名称も道灌の詠んだ歌に立脚する。世が世なら川崎が日本の中心だったかも知れない」と語り、観光協会としても運動に力を入れていく意を示した。
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