川崎市立小中高校の校長、副校長、教頭を再任用する任期が、今年度から最長3年から5年に延長された。国の方針で公務員の定年延長が来年4月から段階的に始まるのを前にした取り組み。市は校長らの知識や経験を経験年数の浅い教員の育成などに反映させたい考えだ。
市は、定年から年金の受け取りが可能となる65歳までの教師の生活を支えることを目的とした、教職員の再任用制度を2001年度に導入。14年度からは対象を管理職にも拡大した。川崎市の再任用の任期は条例で定められ、1年ごとに更新。再任用の可否は、勤務実績や健康状態などで選考する。
今回の任期延長は、地方公務員の定年が65歳まで段階的に引き上げられる法律が施行されることを受けての措置。市は今年度、60歳以上の校長、教頭37人を再任用。うち、3人が4年目を更新した。
校長に求められる役割は、教育課程編成や危機管理、人材育成など多岐にわたる。ベテラン校長が教育現場にとどまることについて、校長経験者の一人は「学校運営、地域対応のノウハウを、時には失敗などの経験談を通して後輩教員たちに伝えることができる」と意義を語る。
「組織機能に課題」
市教育委員会が3月30日に公表した教員の働き方改革の資料によると、在職年数10年以下の教員が21年度は半数を占め、経験の浅い教員に対しては、研修の充実の必要性を指摘する。再任用が2年延長されることで、こうした若手教員の教育の質のさらなる向上につながることにも市教育委員会は期待を寄せる。
一方で別の校長経験者は「定年延長により、管理職のポストに空きが出にくくなるのでは」と指摘。上位ポストを目指す後進の育成のために、組織をどう機能させていくかが今後の課題との見方を示す。
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