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公開日:2025.08.29

市場規模1千億円
かき氷が酷暑で大人気
街の氷屋は縮小傾向

  • かき氷をほおばる子どもたち

  • 「ホテルメトロポリタン川崎」で9月中旬まで提供予定の「かき氷」の看板

 酷暑でかき氷の需要が増している。市場調査会社によると、全国のかき氷の市場規模は2024年に過去最高の964億円を記録し、今年は1千億円超えも予測されるという。一方で街の「氷屋」は減少し、高齢化や零細化が進む。市内の「氷事情」を取材した。

 「グレープひとつ、お願い」「私はイチゴ!」

 8月末の週末。35度を超える猛暑日となったが、小田急向ヶ丘遊園駅近くの住宅地に止まるかき氷のキッチンカー「登戸パーラー」には常時人が集まり、かき氷をほおばっていた。

 同店では、多い日には150〜200食近くを販売してきた。事業主の堀尾佑記さんはコロナ禍にこの事業を始めたが、この数年の「変化」をこう語る。「猛暑日は客足が鈍く、常連客が『夕方に来る』と声をかけていく。実際、暑さが収まってから客が集中する」

 市場調査会社「インテージ」の調査によると、かき氷の市場規模は、23年度には前年比121%、24年度は前年比114・8%と、年々拡大傾向にある。世間ではかき氷好きを「ゴーラー」と呼ぶ人気ぶりで、 JR川崎駅近くの「ホテルメトロポリタン川崎」(幸区)内のレストランでは、これまでビュッフェメニューの一つだったかき氷を、今年からティータイムのアラカルトメニューとして提供。純度の高い「天然水氷」を売りに、一杯980円〜1480円という価格設定だが、人気を集めているという。

コンビニの余波

 県内の氷販売店が加盟する「神奈川県氷雪販売業生活衛生同業組合」(氷雪組合)の幹部によると、コロナ禍が明け、飲食店の営業再開やインバウンド需要により「氷の売り上げは全体的に1割以上伸びた」という。特に夏場は伸び幅が大きく、氷の在庫が底をついたため県外から調達して販売店に卸す氷雪製造メーカーもあるそうだ。

 好調にみえる氷業界だが、街の「氷屋」の状況は厳しい。

 厚生労働省の調査によると、全国の氷雪販売施設数は08年度に2384施設だったが、17年度には1581施設まで減った。店の規模では、16年の時点で従業員数「2人」の店が約3割で、「1人」も全体の約25%と、零細化が著しい。さらに経営者の年齢別では「60歳以上」が全体の4分の3を占め、「70歳以上」も4割以上だった。

 川崎市内の氷屋の店主は「この数年で知り合いの氷屋がいくつも店をたたんだ。今ではどこにでもコンビニがある。仕方がない」と苦笑いを見せる。氷雪組合の幹部も「夏の祭りを秋以降にスライドさせる主催者が増え、気象が不安定で急なイベント中止も少なくない。天気に振り回され、疲弊する氷屋も増えている」と話していた。

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