さがみはら中央区 トップニュース社会
公開日:2015.03.12
矢部に新自治会
「つながり必要」設立の動機
震災で共助の役割再認識
近隣住民のつながりの希薄さを背景に、自治会加入率の低迷が全国規模で広がる中、中央区矢部で新たに設立され、活動を軌道に乗せつつある自治会がある。JR矢部駅前のマンション1棟で立ち上げた「イニシア矢部駅前自治会」。昨年4月に新自治会として登録。マンション名を自治会名に名付け、全戸74世帯が一斉加入した。自治会加入率が低い30・40代の世帯を中心に構成される。
同自治会の遠藤智章会長(36)は、「東日本大震災を機に防災やコミュニティの重要性を再認識したことが大きい」と新設の経緯を説明する。
マンションの竣工は2010年。当初は既存の自治会に入ることを含め、マンション住民間で加入の動きは無かったという。しかし、震災後に変化が生まれる。小学生以下の子どもを持つ家庭が多かったことから、災害など緊急時を考慮し、地域との連携を求める声が強まり始めた。
遠藤会長はマンション住民の多くが、市外から相模原に移り住んだ世帯である点も指摘する。「私のように初めて市内に引っ越してきた家庭の場合、相模原に誰も知り合いがいません。だからこそ、もしものときを考え、地域やマンション住民同士のコミュニティ形成を大切と考えたのです」
遠藤会長らはその後、自治会連合会に相談。自治会の規約作りや役員の制定などを進め、全戸一斉加入で自治会を新設した。
祭りや防災訓練、ボランティアなど、自治会連合会の活動に参加する中で、「地域に知り合いが増えた」とこの一年を振り返る。4月には同自治会単独でウォーキングなどのイベントを企画し、コミュニケーションを一層深めることも検討している。
同自治会が所属する中央地区自治会連合会の代田昭会長は「今回の事例をモデルケースに加入促進につなげたい」と意気込む。震災以降、自治会の必要性が見直され、「絆の輪が着実に広がっている」という手応えも感じている。災害時の安否確認や避難誘導、防犯など、自治会加入のメリットを記したリーフレットを配り、加入促進に努めていく考えだ。
自治会活動の周知徹底
相模原市自治会連合会の田所昌訓会長は、自治会加入率が低迷する現状について、40代以下の若い世代を取り込めていない点を課題に挙げる。加えて、自治会の高齢化が進み、「自分がいても役に立たないから」と辞めてしまう高齢者もおり、負の連鎖が生じているという。
自治会の存続を左右しかねない、若い世代の加入には何が必要なのか。田所会長は「まずは活動を理解してもらうこと」と話す。
例えば、子どもの通学の見守り活動を自治会が行っていることなどを伝え、自治会の役割を説明することが重要という。「地域で支え合うことの大切さを感じてもらえれば、加入促進に繋がるはず」と説明する。
自治会活動の周知を徹底するためのツールとして2015年度に行うのが、自治会連合会のホームページリニューアルだ。若い人に向け、分かりやすく自治会の役割を伝えるものにするという。自治会加入のメリットが分かるリーフレットなども活用していく。
こうしたツールを用いて、単位自治会で直接の加入呼びかけを行うとともに、自治会連合会では未来を見据え、長期間での促進戦略を練る。田所会長は「震災時などは、地域の助け合いが大事。高齢者を地域で見守るためにも、たくさんの人に加入して欲しい。自治会は向こう3軒両隣の絆を築ける」と訴えた。
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