市内唯一の百貨店として長らく親しまれてきた伊勢丹相模原店。同館は今年9月、惜しまれつつ閉館することが決まっている。買い物や市民の憩いの場として、同館は平成の約30年にわたり「相模原の顔」だった。
同館はバブル景気が続く1990年、米陸軍医療センターの跡地に開館。当時の相模大野はまだ駅ビルもなく、古い町並みを残した地域だったが、大手百貨店である伊勢丹の出店で町は大きく生まれ変わっていった。
相模大野駅周辺商店会連合会の会長を務める中田克己さん(58)は、相模大野の町の変遷を目にしてきた一人。伊勢丹の開館と同時期に相模大野で飲食店を開業した中田さんは、当時の相模大野について「伊勢丹ができて町の雰囲気が変わった。新しく人の流れも生まれて活気が出た」と振り返る。開館の翌年には、同館を舞台にしたTBSのテレビドラマ「デパート!夏物語」が放送されて地名度が高まり、人気に拍車をかけた。
地域商業の核を担ってきた同館は、相模大野の地に根差した百貨店でもあった。ハロウィンフェスティバルやもんじぇ祭りなど、地域の催しには積極的に協力。さらに地元の商店街と共同で買い物用のポイントカードを作成するなど、地域と手を取り合い、町全体に人を呼び込むための取り組みを率先して行ってきた。
「無くてはならない存在」
一方、大型ショッピングモールやネット通販などとの競争の激化、買い物客のライフスタイルの変化などから、百貨店は全国で徐々に衰退。同館も例外ではなく、来店客数は次第に減っていった。こうした中、隣地に増設されていたA館とB館が2016年に閉館。その後、本館のみで営業を続けていたが、昨年9月、府中店とともに閉館することが発表された。「噂は出ていたけどまさか本当に閉館するとは。伊勢丹は遠くからも町に人を呼んでくれて、無くてはならない存在だった。驚いたしショックだった」と率直に話した中田さん。発表の翌日には館長らとあいさつを交わしたといい、同館のスタッフらも驚きを隠せない様子だったという。
閉館後の跡地利用については現在、関係者の間で協議が進められている。伊勢丹閉館後のまちづくりをどう進めていくべきか。商店街で思案しているという中田さんは、「新たな核になるものを市民と協力して検討してほしい」と願いを込めた。
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