障害者福祉について学ぶことを目的に、田名小学校(小泉勇校長)は21日、ロンドンパラリンピックのボッチャ日本代表選手の秋元妙美さんを講師にオンライン授業を行った。秋元さんは自身のこれまでの歩みやパラリンピックに出場した際の経験を明かし、障害者は特別な存在ではなく、健常者と同じだというメッセージを力強く児童に伝えた。
今回授業を行った秋元さんがプレーしている「ボッチャ」とは、投てきの目標となる白いボールに向かって赤・青6球ずつのボールを投げ、白いボールまでの距離の近さを競うパラリンピックの正式種目。田名地区では社会福祉協議会や老人クラブ連合会が積極的にボッチャに取り組み、普及活動を行っているのが縁で、2年前にも秋元さんが講演会に訪れるなど交流があった。そうした中、同小の4年生が昨年10月にボッチャを体験したのが契機となり、このほど秋元さんがビデオ通話を通して児童らに声を届けることとなった。
「みんなと一緒」
仮死状態で生まれ、運動機能に障害をもたらす脳性麻痺となった秋元さん。授業ではまず、人それぞれ得意と苦手があるといった個性に言及。その上で、「障害者でなくても苦手なことは誰かに手伝ってもらうし、1人で何でもできる人はいない。みんなと一緒」と話し、障害者は健常者と同じで、特別な存在ではないことを訴えた。児童たちは真剣な表情で、秋元さんが力強く発する言葉に耳を傾けた。
障害がありながらも身体を動かすことが大好きだという秋元さんは、大学時代にボッチャと出会ってからパラリンピックを目標に13年もの間、競技と向き合った。ボールを手で投げる選手が多い中、麻痺のため足を使ってプレーした経験を、得意科目と苦手科目に例え、「苦手科目でいい成績を取れた方がうれしいよね。自分が努力した結果は何倍にも喜びになるよね」と児童に語り掛け、「うまくいかなくても、そこで頑張った経験は自分の役に立つことを忘れないで」とエールを送ると、児童たちは深くうなずいた。
4年3組の高澤真凛さんは「障害者の方も、私たちと同じように夢を持って叶えているのを見て、区別しちゃいけないなと思った」と感想を話した。担任の杉山康二教諭は「秋元さんの一生懸命に話す表情や声が子どもたちに届いたと思う」と述べ、感謝を示した。
秋元さんは本紙の取材に対して、「パラリンピックでは障害者でなくスポーツマン。オリンピック選手と変わらない努力を積んでいる。授業を通して、障害者も健常者と同じように目標を持っていることが伝われば」と願いを込めた。
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