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さがみはら中央区 コラム

公開日:2023.06.15

相模原市立博物館レポvol.30
岩石のミクロな魅力
石のステンドグラス2〜偏光顕微鏡観察の世界〜 地質担当学芸員 河尻清和

  • カンラン石玄武岩(島根県隠岐の島町)=提供

 岩石を偏光顕微鏡で観察すると、肉眼で見るのとはまったく異なる世界が広がっています。白、灰、黒のモノトーンから赤、青、黄などの極彩色まで、また、計算して描かれたような幾何学模様など、実に豊かに彩られた世界です。それはまさにステンドグラスや万華鏡のようです。岩石の偏光顕微鏡観察は、岩石を研究するためには欠かすことのできない手法の一つで、その美しさから多くの研究者を魅了してきました。

 岩石を偏光顕微鏡で観察するには、光が通るくらいに岩石を薄くした薄片を作製します。薄片の厚さは0・03mm、千円札の3分の1の厚さです。偏光顕微鏡での観察はただ単に拡大して見るだけではありません。偏光顕微鏡には偏光板と呼ばれる2枚のフィルターが装着されており、光が偏光板と岩石中に含まれている鉱物を通過するときの性質を利用して薄片を観察します。偏光版はこの性質を最大限に利用するためのフィルターで、色がついているわけではありません。鉱物によって偏光顕微鏡での見え方が異なるので、鉱物の種類を見分けることができます。

 今回の企画展では岩石の偏光顕微鏡写真を展示しています。今回展示した写真は、きれい、面白い、などの観点で撮影した訳ではなく、研究・教育目的で撮影したものの中から、色の美しいものや模様のきれいなものを選びました。

 普段の生活の中で、顕微鏡をのぞく機会はほとんどありません。この企画展を通して、美しい偏光顕微鏡の世界を楽しんでいただくと同時に、岩石や鉱物についても興味を持っていただければ幸いです。

 展示は6月25日(日)まで開催されています。24日(土)には展示解説を行います。皆様のご来館をお待ちしております。

・休館日 毎週月曜日(祝日は除く)、6月26日、27日

・会場 特別展示室

・午前9時30分から午後5時まで

・観覧無料

・詳しくは相模原市立博物館のホームページへ。

■相模原市立博物館(高根3の1の15)【電話】042・750・8030

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