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さがみはら中央区 社会

公開日:2025.08.07

子どもたちに体験者の声を
湘北退職女性教職員の会

  • 小学生の前で朗読劇を行う会員たち

  • 台本の表紙はウクライナカラー

 「教え子を再び戦場に送らないために」--。退職した女性教職員で構成される「湘北退職女性教職員の会」の平和小委員会は、相模原市内の小中学生に向けて戦争を語り継ぐ平和運動を行っている。

 同会は2008年から国語や社会科の学習、広島・長崎への修学旅行の事前学習などの一環として市内の小中学校で出前授業を実施。同会とともに戦争体験者が児童・生徒の前に立ち、当時の悲惨な状況や貧しい日常生活を語り「平和への願い」を訴えかけてきた。多い時は年間20回。今年4月にも、広島で原爆を体験した堀見智子さん(92)と共に富士見中学校を訪れた。

 近年、戦争体験者の高齢化や健康状態を考慮し、生の声を届けるのが難しくなった。そこで現在はそれぞれのエピソードを脚本に起こし、約45分の朗読劇にして語り継いでいる。昨年からは、教育会館で夏休みに開催される映画会の前に、15分ほどにまとめた短縮バージョンを披露。原爆投下の日、終戦の日を前に、平和について子どもたちに語りかけている。「自分ごととして子どもたちに届いてくれれば」と思いを込める。

 22年から現在まで続くロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、児童・生徒らのリアクションは大きく変化しているという。「戦争が身近になっている。他人事じゃない、私たちが戦争を引き起こしてしまう。自分たちが関係しているということを伝えていかなければいけない」

学校で伝える意義

 会員がそれぞれ教壇に立っていたという経験もあり、平和活動を学校で行うことに意義を感じている。「一人で考えるよりもみんなで話を聞いて気持ちを共有する方が記憶に残る」。しかしコロナ禍以降、学校からの依頼は減少し、授業カリキュラムも過密化している。「学校教育の中で平和学習が隅に追いやられている印象がある。我々も頑張らなければ」

 朗読劇の最後に「平和って素敵だね」という一説がある。まわりの友達や家族を大切にすることが、何よりも平和につながると切に訴えかける。

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