新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、3月2日から臨時休館が続いていた市立図書館が6月9日に開館した。各館とも感染防止に知恵を絞る中、相武台分館では職員手作りの「図書消毒機」が導入されている。
図書消毒機を作成したのは、同館職員の市川勉さん(61)。昨年3月末に県立高校を退職し、今年の4月1日付で会計年度任用職員として勤務することになっていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により臨時休館となったため勤務日数が限られ、4月からは在宅勤務や市が行う次亜塩素酸水配布の応援などに従事してきた。
図書館を再開するには、感染防止のため、貸出図書の殺菌・消毒がどうしても必要になる。しかし、アルコールで1冊ずつ拭くのは大変な作業。そこで、市川さんは在宅勤務の傍ら、消毒機を自作してみようと思い立った。「市販されている消毒機を検索したところ、60万円以上のものもあった。さすがに手が出せない。それならば作るしかないかなと」。
元理科教諭で、以前にも除菌用の紫外線ランプを手作りしたことがあったという市川さん。同分館の安藤康恵分館長に相談しながら必要な器具を集め、1日がかりで段ボール製のプロトタイプを作成した。そこで手ごたえを感じた市川さんは、耐久性や安全性を考慮して、木製のボックスを活用することを考案。制作にあたっては、工業高校の電気科教諭にも助言を求めたという。
大きさは横61cm、奥行き32cm、高さ39cm。新書版が横に2冊並ぶほどのサイズで、庫内には銀のシートを張り殺菌効果を高めた。蓋を閉めると自動的にスイッチが入り、10秒ほどで殺菌できるという。「ほとんどの材料はホームセンターで購入したもの。予算は多分1万円以内かな」と笑う市川さん。安藤分館長は「まさか手作りできるとは思わなかった。大切に活用して、安心して本を借りていただけるようにしたい」と話している。
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