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公開日:2015.03.19

上九沢古民家
市、受納に向け活用法検討
国文化財の登録も視野に

  • 笹野家の主屋。明治初期に移築された(=市提供)

 区内上九沢にある相模原市登録有形文化財の「笹野家の長屋門」(上九沢76)。江戸時代末期から明治初期の建築とされるその長屋門を含む、主屋など屋敷一帯の風景が当時の面影のまま現存していることは県内でも珍しいという。その建物・敷地について、市は所有者から寄贈の申し出を受けており、「郷土の生活文化を知るうえで貴重。どのように保存、活用できるかを含めて、受納についての検討を進めていきたい」と話し、今後、国の登録有形文化財への申請も検討していく意向だ。

 笹野家は江戸時代、上九沢村だった頃に、名主として養蚕を主体に農業を生業としていた旧家。東西45m〜50m、南北約50mの台形状の敷地に、長屋門、主屋、土蔵、穀蔵、家畜小屋、井戸上屋等が建つ他、稲荷社、御嶽神社などがまつられており、一部改修、増築等が施されているものの、現在も当時の名主屋敷の佇まいのまま残されている。

 そのうちのひとつ長屋門は、江戸時代末期から明治初期に建てられたと推測され、「郷土の生活文化を知るうえで貴重」とのことから、2002年に市の登録有形文化財に指定された。

当時を知る「貴重な文化財」

 現在、建物・敷地は笹野ハルさん(97)が所有。4年程前までは実際に生活をしていたが、その後は近隣に移り住み、今は空き家に。そうした中で「文化財として価値があるのであれば市に寄贈したい」と市に相談していた。

 それを受けて市は、2013年に有識者を含めて敷地内の建造物調査を実施。その結果、現在の主屋は、前建物が明治初期に火災で焼失した後に長竹村(現・長竹)から移築されたものであることが判明。昭和初期に茅葺から瓦屋根への改修や、居宅裏の増築が行われているものの、江戸時代の建築物であることに加え、移築が記録として残っていることも貴重な建物であることが分かった。また、家畜小屋や井戸上屋などは昭和初期頃に建築されたものと推測。そうした生活関連付属施設がさらに古い時代の建物である主屋などと共に残っている貴重な文化財であるとしている。

 その調査結果を受けて、市は文化庁にも調査を依頼したところ、「貴重なものである」という評価を受けたことから、現在、国の登録有形文化財への申請も検討を進めているという。

 市ではまちづくり会議などで地域の人たちと活用方法等の協議を進めており、「郷土の生活文化がわかる貴重な建物。地域の方々と一緒に保存、活用方法や地域の活性化に向けた取り組みなどを協議し、受納についての検討を進めていきたい」と話している。

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