神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
さがみはら緑区版 公開:2017年11月23日 エリアトップへ

相模原市 給付型奨学金創設へ 教育機会の均衡へ本腰

教育

公開:2017年11月23日

  • X
  • LINE
  • hatena

 市はこのほど、経済的な理由で高校進学が困難な生徒を支援しようと、返済の必要のない給付型奨学金を創設する方針を打ち出した。子どもの貧困対策全般へ活用される新たな基金の設立と併せて教育機会の均衡を図ることで、世代を超えた「貧困の連鎖」を断ち切りたい考えだ。市は今後、12月定例会議に関連条例案などを提出し、可決されれば奨学生の募集を開始する。

 給付型奨学金は高校などでの授業料や教科書代などの教育費が対象。給付条件として、市内に居住していることに加え市民税所得割額非課税世帯の生徒であること、本人の学業への意欲があることが必要となる。

 市では制度設計する上で成績にかかわらず、子どもたちへ平等に教育機会を提供することを重視。横浜市などが給付の条件として中学3年生の段階で一定以上の成績を残すことを要する「成績要件」を課しているのに対して、市では給付条件から「成績要件」を外した。市は市民税などの状況から、1学年あたり約300人が給付の対象となると試算している。

 給付額は1人年間10万円。市によると、全国に20ある政令市の中で同様の制度では最高額となる。県が市民税所得割額非課税世帯の生徒へ年間約7万5千円給付する「高校生等奨学給付金」と併用すれば、公立高校1年間でかかる教育費の平均約24万円の7・5割程度はまかなえる形。入学時には支度金として2万円が別途給付される。

 市の奨学金制度を巡っては、1962年から貸与型の奨学金制度を設け、教育機会確保に努めてきたが、県の実施する奨学金の方が貸与額が高く、返済免除制度もあることから近年では利用者が減少していた。市ではこうした状況を踏まえ、給付型を新設することで家庭の所得状況に起因し全国で問題化している「子どもの貧困」や「貧困の連鎖」を打破したい考えだ。これにより貸与型は今年度で廃止される。

 予算規模は、貸与型の今年度予算が約107万円だったのに対し、給付型では予測される対象約300人分の予算を確保することから、1学年あたり3000万円ほど。3学年に適用される2020年には1億円を超える規模となる見込みだ。市の担当課では「子どもが夢と希望を持って進んでいけるよう支援していきたい」と話す。

 市は、12月定例会議に関連する条例案と必要な費用を盛り込んだ補正予算案を提出し、可決されれば来年1月に奨学生の募集を開始。4月には奨学生が決定する。

「改良の余地ある」

 市は給付型奨学金の創設と併せて、子どもの貧困対策へ「相模原市子ども・若者未来基金」も設置する方針だ。この基金は廃止される貸与型奨学金への基金の残高約3400万円と、故人から市へ遺贈された約1億9400万円が財源。

 新たな基金は一部が奨学金に充てられるほか、子育て支援や若者の自立支援などの施策に生かされる。効果的な施策の実施に向けて子育て世帯の実態を把握するため、市では今年9月から一人親世帯を対象に教育状況や支援のニーズ調査を行っている。調査結果をまとめ次第、基金を活用した具体的な施策を計画していく予定。基金の維持について市は「施策を検証しながら、趣旨を広く知って頂き寄付を募りたい」と話した。

 市内で無料学習塾の運営など教育支援に取組む「相模原みのり塾」の小布施実穂子代表はこうした動きについて、「良いニュースだと思います。ただ、対象生徒のニーズに合っているのか、対象要件を増やす必要があるのか少なくてもいいのか、給付のスタイルはどうするのか(現金かクーポンか)など、今後の改良の余地はあると思います」と話す。

さがみはら緑区版のトップニュース最新6

地域住民の憩いの場に

若葉台団地YYわかば

地域住民の憩いの場に

開設1年半 「盛り上げたい」 

4月18日

20%還元 6月3日開始

相模原市

20%還元 6月3日開始

スマホ苦手派に説明会も

4月18日

開業延期 地元の声は

リニア中央新幹線

開業延期 地元の声は

市内の工事日程は変更なし

4月11日

「ある」県内5自治体

災害時トイレ「独自指針」

「ある」県内5自治体

本紙が33市町村に調査相模原市は国基準で備蓄

4月11日

政令市で「標準化」遅れ

自治体基幹業務システム

政令市で「標準化」遅れ

相模原市「間に合わずか」

4月4日

イノベ創出、連携に期待

JR東海

イノベ創出、連携に期待

橋本駅南口に拠点開所

4月4日

あっとほーむデスク

  • 8月19日0:00更新 文化

  • 1月11日0:00更新

  • 9月21日0:00更新

さがみはら緑区版のあっとほーむデスク一覧へ

バックナンバー最新号:2024年4月19日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook