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公開日:2023.11.09

「難病検査に公費負担を」
医療関係者ら市に呼びかけ

  • 意見を交わす参加者

 救命が可能な子どもたちを早期に発見して難病から救って--。相模原市内の医療関係者らと市長が対話する「相模原市医療懇話会」が10月26日、市役所で開かれた。医療関係者らは、難病などを早期に発見する「拡大新生児マススクリーニング検査」の公費負担の必要性を呼びかけた。

 懇話会でテーマとしたのは「『子育てするなら相模原』医療応援プログラムの提案〜不治の病を昔話に 早期発見で広がる未来〜」。医療関係者として出席したのは、一般社団法人相模原市医師会の細田稔会長や公益社団法人相模原市病院協会の土屋敦会長、学校法人北里研究所北里大学病院の高相晶士病院長のほか、両会の役員・職員ら。相模原市からは本村賢太郎市長のほか、副市長や関連部署の担当者らが出席した。

 テーマ発表では同医師会の藤野宣之理事が「子どもが健やかに生まれ育つ社会の実現のために」と題し、▽拡大新生児マススクリーニング検査の公費助成▽3歳6カ月児健診でスポット・ビジョン・スクリーナー(以下SVS)を用いた視覚検査の導入▽新生児聴覚スクリーニング検査の強化--の3つの取組の必要性を訴えた。

県内は公費負担なし

 拡大新生児マススクリーニング検査とは、これまで20疾患を対象としてきた新生児検査に「重症複合免疫不全症」と「脊髄性筋萎縮症」の2疾患などを追加したもの。

 遺伝子の欠失によって筋力低下や筋肉の萎縮が起こる脊髄性筋萎縮症は、死に至る指定難病になっており、早期の発見が必要とされている。現在では治療法が開発され、早期であれば1度の注射で発病を防ぐことができるという。

 藤野理事によると、全国で初めて栃木県が拡大新生児マススクリーニング検査を公費で全額負担したという。また熊本県と熊本市、高取町(奈良県)が一部を公費負担しているという。一方で神奈川県内では公費負担を実施している自治体はないと指摘し、相模原市の公費負担を求めた。

視覚異常も早期に

 藤野理事は「見逃すと治療法がない弱視」があるとも指摘し、SVSと呼ばれる視覚屈折検査機器の導入を訴えた。子どもの視力は3歳頃までに急速に発達し、6歳から8歳までに完成するため、3歳6カ月児健診の際に正確に視力を測定することが重要だという。

 ただ従来からのランドルト環を用いた検査は小さい子どもの場合、正確に測定するのは難しいとされる。SVSは両目で機器を見るだけで近視や遠視、乱視、斜視などを判定できるという。

 藤野理事は「これらの病気は早期に治療を開始しないと改善する可能性が消失する。早期発見できなかったことは一生消えることのない後悔になる。早期発見の道筋を全ての市民に示すことが大切」と訴えた。

 細田会長は「マススクリーニングは相模原市に公費負担でやっていただきたい。相模原市の子どものために非常に役立つ。ぜひご検討いただきたい」と求めた。

 本村市長は「貴重なご意見・ご提言をいただいて現状を把握することができた。前向きに検討したい」などと応じた。

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