相模原市が「さがみはら子どもの権利相談室」(さがみみ)を開設してから今月で10年目を迎えた。いじめや虐待などの権利侵害から子どもを救済するための電話相談窓口で、状況に応じて相談員が専門家と連携し、悩みの解決に向けて切実な声に耳を傾けてきた。
弁護士らが委員
同相談室は、2015年4月に施行された「相模原市子どもの権利条例」に基づいて青少年学習センター(中央区矢部新町)内に設置された。例えば、学校や家庭で暴力やいじめ、嫌なことを受けたといった子どもの権利侵害に関する悩みを電話で受け付けている。
悩みを受け付ける電話窓口はさまざまあるが、弁護士などの専門家が窓口に配置されている点で従来よりも一歩踏み込んでいる。相談室には弁護士や学識経験者からなる「子どもの権利救済委員」が設置され、問題解決に向けて関係機関の調査や調整を行い、是正の要請や勧告を行うこともできる。
救済委員の補佐役として、子どもと救済委員をつなぐ「子どもの権利相談員」も設置。児童福祉分野などの専門的な職業経験がある相談員が子ども側から相談を受け、必要と判断されれば救済委員に報告する仕組み。現在は4人の相談員、3人の救済委員が交代で対応している。
23年度は延べ95件の相談があり、最多は「友人関係」で23件、次いで「自分のこと」18件、「学校関係」16件だった。
「尊重」根付かせる
相談員の高橋真理子さんは「小学生の中にはどうやって話せばいいかわからない子もいる。辛抱強く聞いていくことが重要」と話す。
「電話をかけてきた子どもの思いをどう引き出すかが私たちの役割」と相談員の岡本昭三さん。
救済委員のひとり、和泉短期大学児童福祉学科の中安恆太准教授は「今の社会では子どもの権利を大人が尊重していない。尊重することを根付かせるため、こうした活動を通じて啓発していくことが大切」と話す。
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