和紙継ぎ紙作家で5月9日から相模湖交流センターで個展を開催する 山下 純一郎さん 牧野在住 78歳
和紙の魅力 世界へ届け
○…平安時代から続く継ぎ紙を独自に解釈し、さまざまな和紙を貼り合わせる絵画技法「紙彩流」を確立。その作品は和紙特有の温かみや質感をもたらす。「光の角度で表情が変わる。幾重にも和紙を重ねて独特の色彩を出せるのはこの技法ならでは」と話す。都内や海外で個展を開いてきたが、初めて地元で開催する。「風景、犬や猫、抽象画など幅広く作品を並べる。多くの人に見てほしい」と呼び掛ける。
○…子どもの頃から絵を描くのが好きで、周囲から「描いて」と頼まれては描いていた。先生から作品展への出展を勧められると必ず賞を取るほどの腕前。「絵の世界で生きていこう」と高校卒業後は着物デザイナーの事務所へ就職した。仕事で和紙の魅力に触れ、「絵画に使えるかもしれない」と制作をスタート。58歳で牧野に工房を開き、作家としてスタートを切った。
○…埼玉県秩父市の生まれ。そばに川と山がある環境で育ち、「藤野に似てるね」と懐かしむ。制作拠点を探す中で出合ったのが藤野だった。下見に来ると「すぐに気に入った。作家として活動するなら自然の中にいる方がイメージが湧く」とぞっこんだ。制作の息抜きも毎日の散策。作品へのインスピレーションを得るために、さまざまなアーティストの個展に足を運ぶなど「好奇心は強いね」と笑う。
○…先に見据えるのは、和紙の魅力を世界に発信し、子どもたちにも伝えていくこと。石ころを使った子ども向けワークショップも展開しており、「自由な発想で楽しんで想像力を広めていけるようなものを伝えていけたら」と意欲を見せる。そして、より発信力を強めていく。「日本だけでなく世界に向けても、和紙とこの技法の魅力を伝えていきたい」