南区内の市道で5月2日、ナラ枯れの木が倒れ、道路を走行していた車両に衝突する事故が発生した。相模原市は倒木現場付近の緊急点検を実施。例年行う点検について民間委託の検討を行い、体制を強化する方針という。
倒木事故は西大沼3丁目、木もれびの森エリアに隣接する市道古淵麻溝台線で発生した。倒れた樹木が走行中の車両に当たり、フロントガラスやサイドミラー、サンルーフなどが破損。負傷者はいなかった。
樹木は幹回約1・1m、高さ約15mの高木。市の発表によるとナラ枯れの被害を受けた樹木で、事故発生時の豪雨と突風の荒天が影響している。市担当者は「土がぬかるみ、折れたのではなく根元から倒れていた状況だった」と説明する。
相模原市はナラ枯れが市内で初めて確認された2017年から市内緑地の点検を行っている。木もれびの森の対象範囲は道路や住宅に接している林縁部から約15m内側。今回倒れた樹木は範囲内に位置していたが、昨年の点検時に倒木の恐れがある危険木と判定された497本に入っていなかった。市担当者は「昨年の点検時に既に枯れていて見落としたのか、あるいは点検の後に枯れ始めたのかというのは分からない」としながら、「より詳細な点検に向け、点検方法の見直しが必要となる」との認識を示す。
人手不足など課題
市内緑地の面積は217ヘクタール。全てではないが、毎年8月中旬に市水みどり環境課の職員6人が点検を行っている。17年から24年まで緑地内で危険木と判定されたのは合計2657本。24年3月末までに2160本が伐採されている。
点検方法は枯れている樹木を探す目視が基本となる。市担当者は「個人の判定のばらつきや奥まった場所に入り込んだ点検など人手不足や専門的な知見からも、職員だけでの点検の難しさはある」と吐露する。
今回の事故を受けて市は、古淵麻溝台線に接する木もれびの森の林縁部から約15mほどの内部を対象に緊急点検を実施している。今後の点検方法については「民間委託の導入も含めて検討を進め、体制を強化する」と話す。
一方で市内のナラ枯れについて市担当者は「昨年、新たに虫が侵入した形跡のある樹木はほぼなかった。今後ナラ枯れ被害は減少していくと予測している」と話す。