町田市立博物館より【15】 右巻き?左巻き?懐中時計の謎 学芸員 齊藤晴子
あけましておめでとうございます。本年も私たち学芸員の裏話にお付き合いくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
さて、さっそく現在開催中の「懐中時計」展(3月6日(日)まで)より裏話をひとつ。当館には18〜20世紀の欧米、日本の懐中時計100点余りが所蔵されており、今回はその全てが展示されていますが、展示の前には作品全点を調査しなければなりません。傷やメーカー名などのチェックなどに加え、動作確認も行うことにしました。
しかし毎回この記事をお読みになっている皆様はお気づきかもしれませんが、本展担当学芸員は時計の専門家ではありません(専門はガラス工芸です)。学芸員といえども専門外のことはさっぱりわかりませんので、毎回一から勉強するのですが、今回は対象が古い懐中時計ということでなかなかやっかいでした。
古い懐中時計は、小さな鍵でゼンマイを巻くのですが、壊してはいけないとおそるおそる巻くせいもあって、ちっとも上手く動かせないのです。最初自分ひとりで点検をした時には、100点余のコレクションのうちの40点も動かせませんでした。
驚愕の事実!
もちろん中には壊れて動かない時計もあるものの、前任者の話ではもう少し動くものがあったはず。困りきった私はセイコーミュージアムさんに相談し、技術者の方を派遣していただいて懐中時計の取り扱い方を教わることになりました。そこで驚愕の事実が発覚!私はゼンマイの鍵は右巻き(時計回り)とばかり思っていたのですが、左巻きのものもあるとのこと。でもいわれてみれば確かに、巻き鍵を差し込む穴が懐中時計の表側にあるタイプと、裏側にあるタイプがあるので、もし同じ機構だとすれば表裏どちらから巻くかで回し方が逆になるのは当然のことでした。
動画でも紹介
動かし方を教わってから改めて巻いてみると、18世紀初頭の貴重な懐中時計も動くことがわかりました。残念ながら展覧会会場では一つひとつ実際に動かしてみることはできませんが、一部の作品については動画を撮って流していますので、あわせてお楽しみいただければと思います。ご来場お待ちしています。
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宮司の徒然 其の137町田天満宮 宮司 池田泉12月21日 |
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宮司の徒然 其の135町田天満宮 宮司 池田泉11月30日 |