町田版 掲載号:2017年9月21日号
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宮司の徒然 其の31 町田天満宮 宮司 池田泉

「傘」

 雨傘もずいぶん進化している。ボタンで開閉できる傘。強風でおちょこになっても簡単に直る傘。逆さまに閉じる傘、等々。

 傘を作って身を守る虫がいる。ウリキンウワバというガの幼虫は、西瓜、胡瓜、南瓜、メロン、ゴーヤーなどのウリ科の葉を食害する。しかし、大発生することがないため要注意の害虫というほど騒がれない。ましてや、私の庭のカナメモチの生垣に絡んだカラスウリを食べるなら、なんのとがめもしない。成虫の羽根には金粉をまぶしたような模様があるからキンウワバという類で括られるが、幼虫は黄緑色のゼリーにミルクシロップの線を引いたような具合で、見つけた時にはちょっと引いてしまう。ところが見た目で「危ない」と思わせるタイプで、実は無毒のおとなしいやつだ。ただしいじめると頭を振って粘液を飛び散らすらしく、これも無毒らしいから次回見つけたらやってみようかと思う。

 幼虫はウリの葉ばかり食べて、ある程度成長すると葉の付け根を上手にかじって、半分枯れたような感じにして葉の傘を作る。昼間はその中に身を潜めて鳥やカマキリに見つからないようにしている。そしていつも大抵尺取り虫のように背中を持ち上げて、いかにも毒だぞと身構えている。まんまと成長したウリキンウワバの幼虫はサナギとなり、やがて成虫となって羽ばたく。茶系の地味なガだが、私はいつも思う。「チョウやガはだいたい好む草が決まっていて、よく飽きず、文句も言わずにそれだけを食べ続けて、挙句飛ぶことができるようになるなんて」と。残念ながら人間の肉体は、たとえベジタリアンであっても大空に羽ばたくことはできない。

 さて、傘と言えば、「法の傘」「権力の傘」などもあって、最近はその傘の下で気が緩みすぎたのか、立派な成虫だと勘違いしているのか、軽はずみな失言や問題行動をしてしまい、身を守るどころか総攻撃を浴びている方々がいらっしゃる。人間としてはまだまだ未熟で、まだ羽ばたいてはいないのだから、虫のひたむきさを見習ってみてはどうだろう。傘の下に居座り続けて羽ばたくことを忘れたら虫以下。大空は飛べなくても、多くの人の期待を背に人として羽ばたいてほしいものだ。
 

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