町田版 掲載号:2022年4月21日号 エリアトップへ

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掲載号:2022年4月21日号

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野蒜の花(左)と美味しい球根(右)
野蒜の花(左)と美味しい球根(右)



 春の新芽にわくわくする感覚は誰しも持っている。淡い緑に包まれていく野山は生命が蘇っていくようだ。一方で、美味しい新芽もたくさんある。わくわくと同時に芽生える食欲。愛でたり食べたり人間は罪深い。地磯へ根魚を釣りに行っても、食べ頃でない小さなカサゴなどが釣れると、綺麗な模様の魚体を見つつ、「小さいからリリースするね。大きくなったらまた会おうね、胃袋で」と話しかけて海に戻したり。

 勝手に生えてくる食べられる野草の中で、特にごく近いところで採取できる草。ヨモギ、ハコベ、タンポポ、ドクダミ、そして野蒜(ノビル)。ノビルは様々な呼び名があるが、町田近辺ではノビロと呼ぶ人も多い。縄文・弥生時代よりも前の古代から食用や薬用として利用されていて、古事記や万葉集にも蒜(ひる)として登場している。採取せずに放置しておけば、ねぎ坊主に似た小さな玉をつけて可憐な花を咲かせる。私はもっぱら酢味噌和えにしていただくが、かき揚げのようにしても美味しい。ネギよりも香りが強く、味がしっかりしていて、特にラッキョウのような丸い球根が美味しい。土壌によっては細すぎて食べるまでに手間がかかるから、これまで農作物として栽培されてこなかったが、最近は太く育てられたものが時折スーパーに並ぶこともある。ただし残念な事に野性味のある味は消えてしまっている。商業ベースに乗せるということは、つまり万人がほどほどに好むようにえぐみや苦み、土臭さなどを無くすことで、それは本来の個性を削り取ってしまうことになる。作物は土地の土で個性が生まれる。それは人も同じこと。だから人は育った土地を愛し、不幸なことが起きて止む無く離れてもまた戻りたいと願う。津波の被災地もウクライナもその点は同じ。大きく違うのは自然災害と人災。自然災害とは付き合っていかなくてはならない我が国だが、戦争はそうではない。多くの人が戻りたいと願う国土を他国が壊してはいけない。母国の土は国民の個性なのだから。

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