町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然 其の138
復興
数千年という人類より長い周期の地殻変動、なにも元旦に起こらなくてもいいじゃないか。しかし何億年という地球の営みに暦など存在しない。ほんの短い歴史の人類が作った暦と重なってしまった不幸。やはり日本は旧暦のままにしておけばよかったとしみじみ思ってしまった。旧暦であれば11月20日だったから、正月で被災地に親族が集まることもなかったのだ。
能登を想う
数年前の神社参拝旅行は、2泊3日で能登半島をぐるっと巡った。小松空港から兼六園、白山比咩神社、気多大社、輪島朝市、キリコ会館、白米千枚田、朝ドラ「まれ」で注目されていた塩田村、穴水町、七尾、氷見、射水神社、金屋町、瑞龍寺、金沢。訪れたところのほとんどが被災。なんて悲しいことだろう。輪島の旅館で出された地酒「宗玄」が気に入り、輪島朝市の入り口の酒屋で買い求めた。そこが無残な光景で報じられるとは。
あすなろ
土産の輪島塗の箸置き。輪島塗の木材はあすなろという木が使われている。当時一般公開されていた平家ゆかりの上時国家(かみときくにけ)の屋敷前では、土産屋の軒先にバケツに入れられたあすなろの葉があって、「ご自由にお持ちください」と書かれていた。葉を財布に入れておくとお金が増えるという縁起物だとか。私もカラカラに乾くまで入れていた。
あすなろは日本固有種で、石川や富山ではアテと呼ばれ、青森ではヒバとも呼ばれる。あすなろはヒノキに似ているが、葉や枝は数年幹にとどまって幅広くなる。また、ヒノキの香り成分ヒノキチオールは、実は本家のヒノキよりも含有量が多い。葉が幅広のせいか日陰でも強く、ヒノキと混在して植えるとあすなろが勝つという。優れているところが多いのに、日本ではヒノキがメジャーなせいで、名前の由来は「明日はヒノキになろう」が略されてあすなろになったらしい。べつにあすなろの木はヒノキになろうなんて思ってるわけがないし、マイナスイメージの名前をつけた人間が良くない。能登のあすなろの木々も経験したことがないくらい揺れたのだろう。
どうか心折れることなく、あすなろの由来を「明日は元通りになろう」と変えて、未来へ向かってほしい。能登は良いところだ。私も再び参拝と観光で訪れることを楽しみにしている一人だ。
|
<PR>
|
|
|
|
|
宮司の徒然 其の142町田天満宮 宮司 池田泉5月16日 |
|
<PR>