水産事業と福祉事業をつなぐ「めだか販売店」を運営するあやめ会(子安町)代表の 青木 崇浩さん 台町在住 44歳
カッコいい福祉
○…2004年にメダカ専門の総合サイト「めだかやドットコム」を開設し、ブームを牽引した第一人者。バクテリアを利用した水質浄化システムで16年に特許を取得。この仕組みで育てたメダカは全国観賞魚コンテストで総合優勝した。そんなメダカは数万円の値がつくことも。障害者就労支援事業所でもある販売店は今、デサントやエイベックスなど大手とのコラボ展開を準備中だ。
○…「身近過ぎて、メダカのことは今まで誰も気にとめていなかった」。しかし、そこにニーズがあることを発見した結果、今の展開がある。メダカ事業は、福祉の常識を覆そうとしている。働く「利用者」は自分の担当する水槽に責任を持ち、販売することで経済活動を実感する。小さな生き物とのふれあいは情緒の安定にもつながる。「集中したときの彼らの熱心さ、的確さはすごい」
○…祖父は会計士、父は税理士。勉強せずとも成績は良かったそうで、大学卒業後は父親の会計事務所で働いた。「順風満帆で、今思えば自分中心だった」。しかし、20代の頃に何十万人に一人という難病を患って一変した。手術後の長いリハビリ生活の中、ボランティアで障害者施設などでメダカの飼育方法を教えることに。「こんな自分でも、必要としてくれる人がいる」。残りの人生を障害者福祉に捧げようと誓った。
○…「病気をしてから得たものの方が、本当に価値のあるものばかりだった」。4月にオープンする新店舗は、独特の世界観の「メダカ盆栽」を展示する。しかし、一番の傑作はメダカを通じた「カッコいい福祉」という仕組み自体だ。スタッフを見てこう語る。「働いている彼らの姿は、どんな世界よりもアートだと思う」
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