八王子 人物風土記
公開日:2025.12.11
育てた乳牛が「第16回全日本ホルスタイン共進会」で1等賞を受賞した
小俣 行弘さん
北野町在住 49歳
都会の牧場で牛に注ぐ愛情
○…北野町の住宅街にある「小俣牧場」で乳牛を飼育。とれた牛乳は、都の地域特産品「東京牛乳」やアイスクリームなどに使われている。飼養する牛の一頭が、このほど「乳牛のオリンピック」とも称される全日本ホルスタイン共進会で入賞した。片道1000Kmにも及ぶ長距離移動を乗り越えた牛の無事を喜び、「牛も人と同じ。体調を崩すこともなく、ホッとしている」と安堵の表情を見せる。
○…3きょうだいの長男。酪農は昭和40年頃に父が始め、子どもの頃から牛の世話が好きだった。専門学校を卒業後は一時、介護の仕事に就いたが、23歳の時に退職。北海道の農業専門学校で畜産を学び、卒業後は十勝の牧場で働いて経験を積んだ。3年後に実家へ戻り、家業を継いだ。住宅街での酪農、心がけているのは牛と近所への心配りだ。「牛舎の清掃や換気、飼料の工夫など少しでも臭いを減らせるように工夫している。そうした取り組みが結果的に、牛が心身ともに健康に過ごせる飼養環境の向上にもつながっている」
○…「手間ひまをかけた分だけ、牛の健康や乳質に返って来る」とやりがいを感じている。共進会出場は2度目。大会を通じて「東京の牛の良さ」が生産者に広まることに手ごたえを感じている。「牛も人も健康に過ごして、おいしい牛乳を作って、次の共進会にチャレンジする機会がもらえればうれしい」
○…「食育、命の教育につながれば」と八王子農協酪農部会の仲間と、小学校や地域の子供会の搾乳体験にも協力。消防団活動も20年以上続けている。生きものを扱う仕事のためなかなかできないが月に1〜2回、酪農ヘルパーが来た日に訪れるサウナやカラオケスナック、一人居酒屋でリフレッシュ。
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