旭町の医療機関「おなかクリニック」に通院する日野市在住の濱江晋さんが今年2月、100歳を迎えたことを記念し、初めて作詞に挑戦した。5月、その詞に曲が付けられ「百才音頭」が完成。現在、同クリニックで高齢者を対象にCDとして配布しているほか、YouTubeでも配信中だ。
パッと浮かんだ
濱江さんは1921年(大正10)2月28日生まれ。鳥取県の出身で現在は日野市旭が丘で長女と暮らしている。
♪産声あげて百年 嬉しいのか寂しいのか 心の中は変てこりん でんでん太鼓が鳴っている―。濱江さんの「百才音頭」は、自らその長寿を記念して手がけたもの。濱江さんは定年後、ほぼ毎日、川柳を作ったり新聞に投稿するなど文章に親しんできたが詞を作ったのは今回がはじめて。「百歳を過ぎてパッと浮かんだ」と話す。
濱江さんは15年ほど前から同クリニックに通っている。今年2月、濱江さんを診療する院長の村井隆三さんが百歳のお祝いに記念品を進呈すると翌月、濱江さんが「お返し」にと、この詞を持ってきた。「(村井さんが)音楽好きと知っていたので贈りました」。村井さんは「大変驚きました。それまで文章を作っていることなど知りませんでした」と振り返る。
実感に感動
100歳ならではの「実感のこもった」詞に感銘を受けた村井さんは「きちんとした曲にしてあげよう」と考え知人に作曲を依頼した。曲は村井さんの「師匠」であるサックス奏者の川村裕司さんが手がけ、ボーカル、ピアノ、サックスによる編成で録音され4月、百才音頭は完成した。「いいテンポの曲。歌詞の♪でんでん太鼓〜の部分が良いですね」と村井さんは満足気だ。
同クリニックでは「高齢の市民の方への応援ソング」とし現在、来院する80歳以上の人にCDで配布している。また多くの人に知ってもらおうとYouTubeでも配信している(下記二次元コードから視聴可能)。村井さんは「すでに他の方による同名の楽曲は存在しますが、その曲は『なりたいな』という気持ちを表現しているもの。それに対し濱江さんは100歳になってその思いを自分で描いた。本当にすごい」と改めて感心している。
長寿の秘訣は
なお村井さんは医師の視点から長寿について「バランスの良い食事、適度な運動、社会と接点を持つこと、会話をすること」が必要と話すが濱江さんはいずれも実践しているそう。濱江さんの長女、順子さんによると「お肉が好き。揚げ物もよく買ってくる」とのこと。運動についてはここ最近はできていないがグランドゴルフが好きという。一方、日野市から八王子駅前のクリニックまで毎月、バスを使って一人で通っている。妻は数年前に他界しており、自宅では順子さんが話し相手に。取材当日、順子さんが濱江さんについて「最近は日中よく眠っていますね」と話すと、濱江さんは「目をつぶっているだけ」と元気に答えた。
![]() 百才音頭を弾き語りする村井さん(左)。5月26日、濱江さん宅にて
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![]() 百才音頭を聞くことができるYouTubeの二次元コード
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