周波数の縁、地域活性へ

　○……八王子みなみ野駅そばのショッピングモール２階に誕生した、ラジオ放送局の新拠点。この「サテライトスタジオ」は、近隣に構える八王子エフエム本社スタジオの小規模版だ。パーソナリティーが見えるガラス張りの造りに、中をのぞき見る通行人が絶えない。「放送はどこででもできるけど、八王子にコミュニティーＦＭがあるということを視覚的に知ってもらいたかった」と狙いを打ち明ける。

　○…音楽プロデューサーでもある。「このアーティストをどう世間に売り出すか」と考えたとき、人柄が伝わりやすくファンとの交流も楽しめるラジオに一目置いていた。自ら番組を製作していたこともあるほどで、「何でも自分でやりたくなっちゃうんだ」と仕掛け屋の顔を見せる。

　○…「すぐにできると思ったら大間違いだった」。５年前、八王子エフエムを開局した当時を振り返る。市内にラジオ局がなく、災害時の情報発信源が乏しい--。行きつけの飲食店のマスターからそう聞き、「ならば」と仲間内で動き出した。しかし、免許の申請や資金集めなど、待っていたのはこれまで多くの先人たちが諦めてきた高い壁。何より、放送エリアに届く周波数がうまく見つからなければ開局は叶わない。「それがちょうど77・5メガヘルツ。ラッキーでした」と舞台裏を明かす。

　○…自宅には大量のレコードを愛蔵。その数、１万枚はくだらない。旅行で訪れたイギリスのレコード店では、仕入れに来ていた日本の業者とかち合ったことも。そのとき手に入れたレコードの一部はサテライトスタジオの壁を飾り、放送を見守っている。「まだ開局して５年。もっと地域に浸透するよう仕掛けていくので、楽しみにしていてください」