5月に行われた「第九回全日本回転寿司MVP選手権」の外国人材部門で優勝した クルン スレンダラさん 天神町在住 26歳
夢握る 異国の寿司職人
○…回転寿司職人が集う全国大会の「外国人材によるエキシビジョンマッチ」部門に出場。実技による握りのスピードや美しさ、正確さなど、関係者いわく「断トツ」のパフォーマンスでの優勝だったという。マグロは2貫で68グラムがベスト。他のネタも含め、10皿中8皿を規定許容内の重さに仕上げたほど、指が「いつもの感覚」を覚えている。
○…「日本で修業して、いつか母国で店を開きたい」。確固たる思いを胸に、7年前にネパールから来日した。19歳だった青年は、日本語学校で語学を学び、市内の調理師専門学校に入学。卒業後、念願だった飲食業の世界に飛び込む。市内などに複数店舗を展開する、回転寿司店「独楽寿司」に板前として就職した。シャリはロボットが製造する店も少なくないなか、「注文を受けてその場で握って、目の前で食べてもらえる」ことがやりがいやうれしさにつながった。
○…卒業した調理師学校は東南アジア圏の生徒も多く、思い出の残る場所。優勝後、報告に赴くと、在校生たちが出迎えてくれた。「(寿司づくりのことは一通り)自分でできるくらい頑張って、今回優勝することができた。みんなも頑張って卒業してほしい」。「先輩」の凱旋に拍手が湧くと、照れくさそうな笑みを浮かべ、後輩たちに握りや巻物を振る舞った。
○…母国に店を構えたい大きな理由のひとつは、ネパールに残した妻と子どもだ。なかなか帰ることはできないが、自身にできることは独り立ちしても客が途絶えないくらいの職人に早くなること。東南アジアでは生魚を食べる習慣がないというが、両国の味を知る自身だからこそ作れる新しい寿司があるはず。錦を飾る日も、そう遠くないかもしれない。
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