八王子 人物風土記
公開日:2025.10.09
JA八王子パッションフルーツ生産組合の組合長を務める
浜中 俊夫さん
犬目町在住 52歳
「一度は生で味わって」
○…テニスボールくらいの実を割ると、南国の太陽のように鮮やかな黄色の果肉が顔を出す。とろりとした果肉の中にはたくさんの種が入っており、「種ごと食べるのが美味しいんですよ」と朗らかに微笑む。12年前、このパッションフルーツを八王子の名産品にしようと、JA八王子の下部組織として発足したのがこの組合だ。春先に組合長に就任。自身を含めた十数件の農家が毎年丹精込めて栽培している。
○…4代続く農園「浜中園」の代表。「末っ子長男」で、幼少期から農園を手伝い、いずれは家業を継ぐことを意識していた。高校卒業後は、「さまざまな仕事を転々としていた」と冗談めかす。農園を継いだのは24歳のとき。祖父の代は野菜を中心に育てていたが、時代の変化に伴い父親の代は植木が中心に。「その時々で需要が変わるからね」。その時流を読む難しさに、生涯向き合う覚悟を決めた。
○…今夏の猛暑の影響は著しく、「本来なら必要のない」水やり作業に追われた。主力として育てている野菜はもとより、パッションフルーツは「昨年の6割くらい」の落ち込みに。だが、近隣農家の先輩や同じ生産組合の仲間と協力し、育て方やノウハウを共有するのが農家としての習わし。さっそく今夏を乗り切った仲間に話を聞き、来年のリベンジを誓う。
○…キャンディや学校給食のヨーグルトソース…。甘酸っぱさが良いアクセントになる、と加工品としての人気が高いパッションフルーツ。入口として、加工品の存在は「とても大切」としながらも、目指すは食卓に「生」で登場する機会が増えること。「この美味しさ、一度は生で味わってほしい」。この南国果実の魅力をこれからも広めていきたいと、いきいきと語った。
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