多摩市は市内空き物件に入居し、事業を始めた企業などに100万円を上限に支給する取り組みを始めた。新型コロナウイルスの影響によって落ち込んだ経済の立て直し策の一環で、空き物件対策の面もある。市担当者は「市内を拠点とする企業が増え、街の活性につながれば」としている。
「出店等促進支援金」として先月から受付を開始。対象は今年から来年2023年の3月31日(金)までに事業を開始し申請した事業者で、業種は問わず市内外から申し込みを受けつける。上限100万円は敷金・礼金や内装改修のほか、事務用品の購入、広告費など原則、用途に縛りはなく、市の現地調査などを経てその有無や支給金額が決まる。支援の対象者には1年を超える事業の継続や週5日以上の営業、出店地域の商店会への加入などが義務づけられるという。
市は先月から市内外の関係機関にこの支援金に関する周知を始め、既に数件の取り合わせが来ているといい、「期日前でも予算に達した場合、締め切りとなるので注意してもらいたい。希望者には市で実施している創業・経営相談窓口なども紹介できれば」と担当者は話している。
起業熱は高まり
多摩地域で起業を考える人は増えているようだ。20年7月末に東京都らが立川市に立ちあげた創業支援を目的とする「TOKYO創業ステーションTAMA」では昨年12月までに延べおよそ4万8000人以上の起業に関わるイベントへの参加や相談などがあったといい、この数は当初予想よりも多く、同施設の山本康博さんは「都心や地方の方も含まれるが、多摩地域で起業を考える人が増えているのは確かと思う。若者や女性の相談が増えているのが特徴的」と話す。
また、多摩市の創業に関する相談窓口を利用する人も19年度の78件から、今年度は昨年12月までで19年度の1年分に近い73件と増加傾向。「コロナの影響を受け廃業した店舗の空き物件ができたことをチャンスと捉え、起業を考える人もいるのではないか」(市担当者)。
一方で、市内でコワーキングスペースを運営するなど起業支援にあたる株式会社キャリア・マム(落合)の広報を担当する田村真理さんは「当社が開催している個別の相談件数もコロナ前と比べて20・21年度は増加している」と話し、オンラインで相談できるようになったことや副業の種類が増えていることなども影響している可能性があると話す。
「当社のコワーキングスペースでは、若い起業者にシニア世代の方が仕事につながるアドバイスをおくる姿を見かけることが少なくない。多摩はそんな土壌のある街と思う。市内で起業熱が高まってくれれば」としている。
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