多摩 人物風土記
公開日:2022.12.15
箱根駅伝に出場する国士舘大学・駅伝監督を務める
小川 博之さん
町田市在住 44歳
「悲運」の学び生かす
○…実業団チームの監督から、母校である国士舘大学に戻ったのは2年前。助監督を務め、現職に今春就任。主力選手が多く卒業し迎えた今年のテーマには「育成」を加え、一からチームづくりに取り組んできた。手ごたえを感じたのは夏合宿。弱い世代とされてきた4年生がチームを鼓舞するようになり、10月の予選会突破の原動力になった。「うちらしい粘り強い選手が育っています」
○…中学、高校で日本一を経験するなど、学生時代は名を馳せたランナーだった。だが、箱根駅伝出場を目指し入学したチームは低迷期。予選会で個人上位の走りをみせても、本選で一度も母校のたすきをかけることはできなかった。そんな姿に当時は悲運のランナーと形容されることもあったが、「もちろん、悔しかった。でも、そんな経験が今に生きています」と振り返る。
○…選手時代から、探求心は強い。天性のスピードにおごらず、強くなるには何が必要かを常に考えてきた。現在、選手たちにもその大切さを説き、より選手を理解したいと今春から大学院で心理学を学び始めた。どのように声をかければ、選手は前向きになれるのか。監督業の合間に多くのレポートをこなす毎日は息を抜く間もないが、楽しい日々でもある。
○…来年の1月2、3日に行われる本選への準備を進めるなか、見据えるのが3年後。現在の1年生が最上級生になった時に箱根駅伝で上位に食い込めるようになりたいと考える。背景にあるのが周囲の期待。大学を卒業し所属した実業団選手時代などに苦楽を共にした仲間らが高校の指導者となり、有力選手を送り出してくれたのだ。「つながりの大切さを感じている。選手にはそんなところも教えていきたい」
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