多摩 人物風土記
公開日:2023.05.11
地域コミュニティづくりを後押しする東京都住宅供給公社の理事長を務める
中井 敬三さん
都内在住 67歳
「きっかけづくり」先導する
○…東京都職員としての役割を終え、2019年に現職に就任すると、団地を管理する社のトップとして多摩ニュータウンを見守ってきた。都の若手時代、ニュータウンは憧れの住宅。自然豊かで都市計画に基づいて歩車分離が進む街で暮らしたいと願ったが、「私の給料では手が届かなかった。それで千葉の方に住むことに」と苦笑い。入居者の高齢化が進むのは「住みやすいから離れないんですよ」と羨む。
○…社会課題を解決できる存在に、と公務員を志した。都では1つのことに特化するスペシャリストになりたい気持ちもあったが、金融や医療などさまざまな分野の課題解決にあたることに。ゼネラリストとしての集大成は都の教育長。教員の働き方改革を進めるなど、成果を残し、「子どもが社会にとって大切な存在であることを実感することになった」
○…神奈川県出身。幼い頃から人を押し退けて自分が、というタイプではなかった。ただ、学級委員長や生徒会長を務めるなど、不思議とリーダーとして推されることが多かった。皆の優れているところを褒めて伸ばすタイプの先導者。「失敗しても良いから、やってみな」が口癖で言葉には出さない「責任は自分が」という気持ちがぶれないからこそ、皆の信頼を集めることになる。
○…同社は近年、管理するニュータウン団地周辺の活性化に力を入れる。八王子や多摩市内に空き店舗を活用したコミュニティ拠点をつくり、町田市では5月下旬に地域住民の生活サポートにあたるスポット開設に協力する。「あくまでも我々は入居者らを支援する存在。街に活気が生まれるきっかけづくりができれば」。いつまでも社会とつながっていたい。そんな自身も望む環境を生んでいく考えだ。
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