▼食品アレルギーや放射能への対応、衛生管理や食育など、学校給食が提供する安全と安心の要素は年々その質が上がっているのではないだろうか。大和市では、小中学校で完全給食を実施している。良質な給食は、行政の担当職員や栄養士、委託先の調理員や補助員、配送ドライバー、食器洗浄員、食材の仕入先、保護者など目に見えない努力に支えられている。
▼大和の共同調理場では調理、配送、食器洗浄の業務を民間委託している。北・中・南部の共同調理場の運営には学校長とPTAの代表、学識経験者ら11名でつくる運営協議会が設置され「給食設備の充実計画」なども協議している。
▼こうした大和市の学校給食で4月に二度、5月にも一度、給食への異物混入騒ぎが起こった。大和市教委は三度目の騒ぎを受けて委託先の会社名を公表し「調理業者の点検が甘かった」として事態の収束を図った。しかし真相は違った。その後の取材で、耐用年数が過ぎた調理器具が数多く使われていること、調理器具を買い替える予算が2カ年度にわたり凍結されていること、騒ぎはいずれも旧式の器具に原因があったことがわかってきた。言い換えれば、子どもの安全よりも各年度の財政事情が優先されてきた結果、招いた事故だったといえる。
▼そもそも調理器具は市の財産であり、維持管理は市の責任で行われているはずだ。二度目の騒ぎが起こったあと市教委は委託先の調理員に日常点検の強化を指示した。三度目は調理員が部品の欠落を発見したため、混入前に配食中止の措置がとれた。そう理解したほうが妥当だろう。
▼大和市では2010年度に、従来のアルマイト製給食食器を、より安全な樹脂製に変更。先割れスプーンも廃止して箸を導入した。11年度には小学校の普通教室すべてに約1億円かけて電子黒板を導入するなど教育行政への投資に重点を置いてきた。予算編成のプロセスの見直しは今後の課題とし、この問題では一刻も早い予算措置が必要だ。さらに従来の受発注の関係を根本から検証したうえで、互いにものが言えるパートナー関係に発展させていく必要があるのではないだろうか。
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