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「ゆめ国体」と行幸啓

社会

掲載号:2019年4月19日号

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沿道は多くの市民で埋め尽くされた。両陛下が館内に入られた後、高齢の女性が倒れるアクシデントが起きた(写真はすべて土屋氏提供)
沿道は多くの市民で埋め尽くされた。両陛下が館内に入られた後、高齢の女性が倒れるアクシデントが起きた(写真はすべて土屋氏提供)

 新元号「令和」が発表され、今月末「平成」の時代が幕を閉じる。30年余りの在位中、神奈川県で開催された「かながわ夢国体」の際、天皇・皇后両陛下が大和市を訪れている=文中敬称略

 43年ぶりに神奈川県で行われた「第53回かながわ夢国体」は、平成10(1998)年10月24日から29日まで、県内37市町村で競技が行われた。大和市は、バドミントン(正式競技)と硬式野球(公開競技)の2種目の会場となった。

 開催3年前の平成7年、大和市は庁内に国体事務局を設置。金子正美は、平成10年に秘書課から異動してきた。両陛下の訪問は、県の秘書課を通じて打診があった。当時の岡崎洋県知事の推薦や大和市出身で県バドミントン協会会長の杉田博がいたことなども大きな決め手となった。

 両陛下を迎える準備については、国体開催の前任地の大阪や広島に連絡を取り、アドバイスを求めた。応接セットをレンタルし、両陛下の観覧席を仮設で新設した。赤じゅうたんは転倒の危険性を考え、敷かないことにした。

 警察がメインとはいえ、警備にも気を配った。

 東名高速道路の大和バス停付近には一般道に降りる非常用の出入口があるが、金子はそこから踏切を渡ることなく、両陛下の車列が通るルートを大和警察と歩いて確認。屋外広告物の撤去や植栽の伐採を依頼した。またマンホールには不審物がないかどうかを確認した。スポーツセンター内のコインロッカーは1週間前から一般利用を禁止にし、出入りを制限。自分たちの打ち合わせも陸上競技場前のプレハブで行った。当時はまだ珍しかった携帯電話をレンタル。警察などとのやり取りに使用した。観客席のある2階のトイレは前日にすべて清掃、当日まで使用禁止にした。

 10月25日、日曜日。前日、横浜で行われた開会式にご出席後、横浜ロイヤルパークホテルニッコーに宿泊された両陛下を乗せた車列は、みなとみらいを抜け、横浜新道、東名を通り、予定していたルートを時間通りに走行した。

 スポーツセンターのピロティに両陛下を乗せた車が到着する。車から降りられた両陛下を待っていたのは、何重にも連なる沿道の市民だった。館内に入る前、皇后陛下が沿道の園児らに声をかけられるサプライズもあった。金子は「テレビで拝見するのと違ってオーラを感じた」と当時を振り返る。

※  ※  ※

 スポーツセンターでは土屋侯保市長が出迎えた。両陛下から向かって右側に立ち「ようこそ大和市においで頂きました。大和市長の土屋侯保です。ご案内させていただきます」と自己紹介をし、右手で案内方向を示しながら先導する。出迎えの挨拶から案内の方法まで、すべてが決まっていた。

 日本バドミントン協会の会長でもあった桜内義雄衆院議員、地元選出の甘利明、冨沢篤紘両衆院議員、江田実、安藤博夫、益田駿各県議、大和市議らを次々と紹介した後、秘書課の職員が空けて待つ、エレベーターへと向かった。

 両陛下を筆頭に関係者がエレベーターに乗り組む。「失礼します」と言って陛下と向き合う形で最後にエレベーターに乗り込んだ土屋は、先に乗られていた陛下の前に立たないよう、階数表示盤の前に立つ職員の後ろに滑り込む、つもりだった。しかし、先に乗られ、皇后陛下と並んで待たれていた天皇陛下は「どうぞ」とスペースを空けられた。「両陛下の間に入るのは…」と、丁寧に謝辞を述べ、予定通りの場所に落ち着いたが、「譲っていただいたのには驚いた」と恐縮した。

 この日のために設えた観客席で、両陛下の後ろに座った土屋は、周囲がジョギングコースになっていることを説明。「では私も走らなければいけないですね」と皇后陛下は優しく返事をされた。

 しばらく観戦した後、控室へ。車の準備が整うのを待っていたところ、ハプニングが起きた。

 沿道にいた高齢の女性が倒れたというのだ。急きょ、土屋と市議会議長の中村晴良が話し相手をすることになった。土屋は当時、皇后陛下の英語の朗読が話題になっていたことに触れ、水を向けると皇后陛下は「英語力は陛下の方が素晴らしいのですよ」と自らの話しをせず、天皇陛下に話を向けられた。常に天皇陛下を立てる皇后陛下の対応に土屋は感動した。時間にして約30分。「国体の試合以上に密な時間だった」と振り返った。

 次の観戦地・小田原へ向かう車に乗る前、陛下は「(先ほど倒れた方は)大丈夫でしたか?」と声をかけられた。土屋は「はい」と返事をし、車列を見送った。

※  ※  ※

 土屋はこの日の他に2度、天皇陛下に「お目にかかっている」という。一度は、一昨年の叙勲の際に拝謁し、園遊会に招かれた時。もう一度は、10年以上前、市長を辞めて直後のことだった。

 葉山マリーナの近くを家族と歩いていた時、信号待ちをしていると、黒塗りの車が左折をするため、速度を落とした。すると窓を開け、後部座席でお辞儀をする両陛下の姿がはっきり見えた。その親しげに微笑む姿に娘さんは「お父さんのこと知っているんじゃないの」と目をしばたたかせたという。「御用邸に向かわれる途中だったのではないでしょうか。きっとどなたにもそのようにされるのでしょうが、とても思い出深いです」と嬉しそうに微笑んだ。

両陛下の間で競技の説明をするのは県バドミントン協会の杉田会長(大和市バドミントン協会50周年記念誌より)
両陛下の間で競技の説明をするのは県バドミントン協会の杉田会長(大和市バドミントン協会50周年記念誌より)

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