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特集・「令和」に伝える 繋げる郷土の歴史、亡夫の思い 古文書の解読を続ける古木昌子さん

社会

掲載号:2019年5月1日号

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公所にあった茅葺屋根の自宅。今は浅間神社が建つ。(写真右が弘造さん)
公所にあった茅葺屋根の自宅。今は浅間神社が建つ。(写真右が弘造さん)

 今年白寿を迎える古木昌子さん(中央林間在住)は、家に残る江戸時代の古文書の解読を40年近く続けている。「昔のことが分かって楽しい」と話すその解読作業は、「定年後に整理をする」と言い残し急逝した夫・弘造さんの遺志を引き継いだもの。江戸から明治、大正、戦前戦後の昭和、と当時の暮らしや息遣いを留める資料を、郷土の歴史として、「令和」を生きる人々に残す作業が続く。

「令和」も続いて戦争ない時代

 1920(大正9)年、都筑郡(現・横浜市都筑区)川和町で生まれた昌子さんは、二十歳の時、江戸時代中ごろから公所地区(当時の大和村)の名主をしていた古木家の弘造さんの元に嫁いだ。当時、ほとんどの家が茅葺だった公所地区。「婚家はもちろん小学校の分教場まで茅葺でしたから」と当時の驚きを話す。

 結婚後、間もなく始まった戦争、最も印象深い出来事の一つだ。「自宅から横浜方面が真っ赤に染まったのが見えた」「(主人に)赤紙が来てからは女子どもだけになってしまったので、心細く、大変な生活を強いられた」と当時の辛い思いを語る。

 それでも空襲などによる被害は少なく、多くの疎開者を受け入れていた公所地区。村に電話は1本だけだったため、消防団の人が縁側に詰め、警報が伝えられると、火の見櫓に駆け上り、半鐘を打って村中へ知らせていたという。

 「平成に続き、令和も戦争のない、平穏な暮らしが続けられる時代であってほしいと願っている」との言葉は、戦争を経験した世代にとっては、何にもまして、未来の世代に伝えたい思いだろう。

※  ※  ※

 古木家には、触書や愁訴、願書、訴状など様々な資料が文庫蔵に保管されていた。東大の助教授の時、名古屋大学の教育学部立ち上げに携わった夫の弘造さんは、中央林間に転居後、「停年後に整理する」と言い残したまま、急逝してしまう。

 80(昭和55)年、残された約5千点もの資料を前に、昌子さんは、夫の遺志を継ぎ、自ら解読をすることを決意する。60歳の時だった。

 「まるで外国語と同じ」古文書を読むために、昌子さんは、横浜で開講していたカルチャーセンターの「古文書解読講座」に毎週通った。

 もともと学生時代から歴史が好きだったという昌子さん。読めなかった文字が、勉強を続けることで、少しずつ読めるようになる。すると旗本領の名主だった古木家の生活など義母などから聞いていた話しと同じことが書いてあった。資料の中には公文書だけでなく、女性が書いた手紙などもあり、当時の暮らしの詳細も分かった。「江戸時代の女性は字が読めない、書けない人が多いと思っていたが、そんなこともない、と気付かされた」と江戸時代の暮らしに思いを馳せた。

 ただ、人によっては同じ字でも崩し方などに癖があり、その癖を見抜いて解読しなくてはならず、また虫食いやネズミに齧られた文書を裏打ちして読めるようにすることが大変だったという。

「江戸」の資料「平成」に甦る

 昌子さんが解読を始めてから24年。2004(平成16)年に、解読できた江戸時代の資料910点を一覧にした「古木家文書目録一」として完成、世に出ることになる。13(平成25)年には、江戸後期から幕末までの916点と明治期の文書1415点を収録した「目録二」も発刊した。

※  ※  ※

 今でも昌子さんは毎日、資料を丁寧に分類し、解読した文字を鉛筆で原稿用紙に書き写す作業を続けている。「面白くてやっているので、楽しいですよ。時間が惜しいです」と微笑む。健康の秘訣でもあるようだ。

 現在は大正、昭和の時代の資料の整理に取り掛かっている昌子さん。「昭和」、「平成」を通し、郷土の歴史を形にし、「令和」を生きる世代に伝える活動は続く。

インタビューに答える古木昌子さん
インタビューに答える古木昌子さん

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