海老名市で毎年夏にヒマワリ畑の「小路」を作る 伊田順一さん 海老名市大谷北在住 43歳
挑戦は、歌いながら
○…毎年夏に海老名市のどこかにヒマワリ畑をつくる人。日焼けた体が準備の苦労を物語る。元々は畑に混ぜ込む肥料にするのが目的で「せっかくなら楽しいものを」と花畑の中に小路も作るようになった。親子連れに人気だが、何より嬉しいのは奥さんの笑顔。始めるにあたって「これは遊びじゃなくて仕事」と説得し頷いてもらった。
○…祖父の代から続くニラ栽培を20代で受け継ぎ、一年中収穫に忙しい。春と秋で株の太さや本数が異なり、鎌の感触で季節を感じる。栽培はそれまで当たり前だった経験や勘頼りをやめ、土壌検査を始めた。畑の個性をみきわめ施肥などの戦略を立てる。緑肥のヒマワリ畑も新しい取り組みのひとつ。「農業には正答がない、何事も自分で考えなければ」。言葉に覚悟がにじむ。
○…学生時代は神奈川工科大で学び「かわさきロボット競技大会」への出場に没頭。大会には資金力と技術のある社会人が立ちふさがり、手元には安いパーツで作った自作ロボしかない。ひたすら練習試合を重ね、ベスト8に上るまでになった。自分で勝ち筋を見つける習慣が、農業に生きている。取引先からの感想や要望をすべて受け止め、改良を重ね、大手スーパーや百貨店でも販売されるまでになった。
○…趣味は合唱。有馬高校の頃にベートーベンの第9を歌い始め、今も合唱グループにテノールとして参加する。がっしりとした体は発声時に気道や横隔膜を意識し、内から鍛えあげた。「歌詞の意味が分からなくても、うまい人も下手な人も一緒になれるのが第9。間口が広く懐が深い」としみじみ称える。早朝からの畑作業で口ずさむのもこの曲。歓喜の歌と一緒にまいた種が、誰でも入れて楽しい、ヒマワリ小路に変わった。
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