座間 人物風土記
公開日:2014.06.13
元サッカー日本代表で、現在は座間フットボールクラブの総監督を務める
沖宗 敏彦さん
小松原在住 54歳
父の言葉を胸に
○…1979年に開かれた、20歳以下のワールドユース大会。日本代表として国立競技場に立ち、心が震えた。スタジアムのスケール感に圧倒され、いつもより小さく見えたボール、水中を走っているように重くなった両脚…。代表としてホームで戦う重圧や喜びが凝縮された試合だった。1981年には、A代表に初選出。マレーシアの大会で、FIFA国際Aマッチへの出場を果たした。A代表は、ワールドユースとは別の緊張感があった。国の威信をかけた戦いは「ルールある戦争」と表現するほどだ。
○…広島の出身。小学校低学年の時は、体調不良で休むことが多く、引っ込み事案な性格だったとか。そんな時、教師に勧められたのがサッカーだった。地元クラブに入団すると、高い身体能力で頭角を現した。「友達も多くなった。野球好きだった親や兄もサッカーに目覚めた」と懐かしそうに笑う。高校卒業後は富士通(株)に入社し、サッカー部(現/川崎フロンターレ)の一員として活躍した。
○…座間FCは、中学生が所属するクラブ。「何より大切なのは人間形成」と指導方針を語る。その原点は、代表に落選した時のこと。そのショックは大きく、会社やトレーニングを無断で休み、あての無いままたどり着いたのは富士の樹海だった。悶々とした一夜を過ごし、その足で実家へ。そこで父親から、無断で休んだことを強く叱責された。同時に言われたのが、「感謝・尊敬・謙虚・素直・勤勉」だった。「代表に選ばれて環境が変わり、感覚が麻痺していた。父の言葉で目が覚めた」――。5つの言葉は、自身の礎となり、今はクラブのスローガンだ。
○…2人の息子さんは独立し、今は奥さんと暮らす。「監督として常に良い見本を見せられるように」と、小松原のスポーツジムに通い体を鍛える。「人生は、ビートを止めるな」が信条。悩んだ時も、立ち止まらず行動し続ける――。そう自分を鼓舞し、道を切り拓く。
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