座間市農業委員会の会長に就任した 井上 俊春さん 栗原中央在住 65歳
農業の、酸いも甘いも
○…先祖代々この地に暮らし、400年になる。脈々と継がれてきた土地を守り、田畑を耕す毎日だ。猛暑が続くこの時季は、太陽がまだ地平線の底に沈む午前3時頃から収穫に汗を流す。今でこそ、座間にもサラリーマン世帯が増えたが、昔は農業か町役場かの2択。地域経済を支えていたのが農業だった。そんな座間の農業を、事務面から支える「市農業委員会」の会長に、7月23日に就任した。
○…好奇心が強い性格で、電機会社からガソリンスタンド、スポーツ関連会社と異業種を渡り歩いた。行き着いた先は座間市農業協同組合(現・JAさがみ)。これまでの営業経験を買われ、渉外係の立ち上げを任されたほか、税務・アパート建築・貯金・保険・総務に監査とあらゆる仕事を経験した。「大変だったこともあったけれど、いい経験をさせてもらった」。当時の知識や経験は今の活動にも活きている。
○…地域活動にも積極的に参加。栗原地区生産組合の一員として、1997年からはひまわりの植栽事業にも携わった。現在も、その「ひまわりまつり栗原会場」には毎年足を運んでいる。不動産運営と農業の二足の草鞋を履き、地域活動に追われてゆったりと旅行に行くことも中々叶わないが「色々あるから、飽きることがないし嫌気がささない」とあっけらかんと笑う。
○…後継者不足や専業農家の減少など、直面する問題も多い現代の農業。だが、レンタル農園の借り手の増加など、明るい話題も出てきた。近年の、一番の嬉しい驚きは一度就職した次男が「跡を継ぎたい」と言ってきたこと。毎朝ともに畑に出ては、少しずつ少しずつ長年のノウハウを継承している。「10年やっても身につかないのが農業。サラリーマンと違って、初めは年に100万円稼ぐのに物凄い時間と労力がかかる」。それでもやめられないのは、自分の育てた作物のおいしさを、自身が一番知っているからかもしれない。
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