座間市アーティストファイルの一員としてアートマップの製作を手掛けた 小山 透さん 小松原在住 62歳
アフター5の芸術家
○…わずか数年前までは、ありふれたサラリーマンだった。家電を扱う工業デザイナーとして連日仕事に汗を流し、地元に目を向ける余裕もあまりなかった。60歳で役職を降りるのを機に、陶芸教室の門をたたいた。もろく風合いのある「土」は、これまで仕事で扱ってきた金属やプラスチックとは対極にある素材だったが、すぐに立体芸術家としての頭角を現し、わずか1年後にはコンテストでも高い評価を得た。
○…市内を拠点に活動する芸術家が組織する「座間市アーティストファイル」では「兼業芸術家」として異彩を放つ。多くの芸術家が自己表現として作品を生み出す一方、「人と違うものを作って見た人を驚かせたい、喜ばせたい」とそのモチベーションを語る。立体造形を始めたのも、会社で退職者への労いや結婚のお祝いとして紙粘土の似顔絵人形をプレゼントしたのがきっかけだった。時には仲間の作品を撮影・編集して小冊子にまとめたりと「企業人」のスキルを活かして芸術振興に励む。
○…工業デザインの仕事は、納期や予算が限られる上に他社製品への優位性が求められる。「デザインと一口に言っても、いわゆるアートとは全く違って」。理想を全て形にするのは難しいが、それでも自分の手掛けた商品が店頭に並び、消費者の家庭に届いた時には大きな喜びが生まれる。
○…アーティストファイルの一員として、座間のアートスポットをまとめたオリジナルマップを作製した。展示等に使えるギャラリーや公共施設に加え、美術に関する教室やサークルの情報も盛り込んだ。「マップをきっかけにアート人口が増えるだけでなく、サークルや団体の横の繋がりができたら素敵だと思う。そのお手伝いもしたい」。これまで腰を据えて向き合うことが少なかった、地元・座間。これからどうやって街の芸術色を強めていこうか――。アイデアを練り続けている。
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