♯みゅーじっくコラム♭ 音楽の森 ピアニスト 倉本 卓
このたびの東北地方太平洋沖地震で被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
1995年の阪神大震災の時はちょうどまだウィーンに留学していた時期でしたが、現地のテレビで「日本で大地震が起きました」というニュースと共に高速道路が積み木倒しのように倒れている様子が映っているのを見て愕然とした覚えがあります。オーストリアなどヨーロッパ内陸に位置する国は地震がほとんどないため、地震がどういうものか実感がないようでした。
今回の地震ではまさにリアルタイムで津波が町を襲っている様子が映し出され、ただただ自然の猛威に圧倒されました。焼野原のようになった町を見て言った被災された高齢の方の言葉が印象的でした。「戦争の時のようだ」と。ウィーンの音大時代のユーゴスラビアの友人が、今回の震災で私にメールでこう語っていました。「この日本の災害を見て昔の私たちの悲惨な紛争を思い出しました。だけど、あの境遇を乗り越えたとき、また私たちに笑顔が戻りました」
震災以来、計画停電などがあり多少の不便を感じますが、普通にご飯を食べられ、ピアノを弾けるということがどんなに幸せなことかとしみじみ感じています。
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4月19日