アフリカ中南部に生息する「アフリカツメガエル」が、中荻野のあつぎこどもの森公園で繁殖している。東京農業大学野生動物学研究室の学生が同園内のため池を調査して分かった。人体への危険はないが、生態系への影響が懸念されるという。
国立環境研究所によると、アフリカツメガエルは本来アフリカ中南部に生息。日本では主に実験動物やペットとして飼育されているという。日本への輸入が初めて確認されたのは1954年、江ノ島水族館で飼育されたものといわれている。野生での定着は静岡県などで見られるが、定着時期や他地域での生息は詳しく分かっていない。
ツメガエルはほとんどを水中で生活する両生類。水中に生息する在来の昆虫や魚を捕食するため、環境省は生態系被害防止外来種に指定している。
市内ではこどもの森公園から500メートルの距離にある沼地で、2008年に初めて神奈川トンボ調査・保全ネットワークの代表、諏訪部晶さんがアフリカツメガエルを発見。同園のため池では、15年8月には生息しているのを確認したという。
東農大の菱沼彩佳さん(4年)は、今年2月からため池と沼地の2カ所でカエルの生態を調査。ツメガエルのほかに特定外来生物に指定されているウシガエルも捕獲。胃から捕食生物を取り出して2種の食性を研究している。6月までに29匹のウシガエルと21匹のツメガエルを捕獲。ツメガエルは成体(大人)だけでなく幼体(子ども)も確認していることから繁殖している可能性があるという。
諏訪部さんによると、ツメガエルが陸上を移動したとは考えにくいことや、ため池と沼地が水路でつながっていないことなどから、ため池に人的に放流された可能性があると指摘。繁殖が続けば食害のみならず他の在来生物への競合圧が生じる可能性があるという。
同園は里山の自然体験などに親しんでもらおうと今年3月にオープン。外来生物の持ち込みなどを禁止している。管理する市公園緑地課は「市民と一体で管理していく公園という位置づけなので、駆除作業はボランティアに任せている。どの自治体の公園でも(ペットなど動物の)放流には頭を悩ませているのではないか」とコメントしている。
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