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厚木・愛川・清川 文化

公開日:2016.07.22

The Interview
「やっとスタートラインに立てた」
『つむぐもの』監督 犬童一利さん

  • 『つむぐもの』あらすじ/脳腫瘍により半身まひとなった越前和紙の職人・剛生(石倉三郎)の前に現れたのは、和紙作りの手伝いと勘違いして来日した韓国人の娘・ヨナ(キム・コッピ)。言葉も価値観も違う、相容れない二人が、介護を通じ次第に深い絆を育んでいく。

 映画『つむぐもの』を手掛けた市内鳶尾出身の映画監督・犬童一利さん(30)が7月18日、中町のアミューあつぎ映画.comシネマで舞台挨拶を行った。地元で初の作品上映を果たした犬童監督に話を聞いた。

――地元での上映、いかがでしたか。

 「18歳まで人生の半分以上を過ごしてきたので、ホーム感、温かさがありました。高校の友人や同級生の親、妹の親友も来てくれて。親も心配しているんです。『いきなり会社員辞めて監督になるって何言ってんの?』みたいな感じだったんですが、初日に来てくれました。地元で上映されたっていうのは、認められた気がしますね」

――会社員から映画監督を志したきっかけは。

 「2年間会社員をやって、24歳のころに映画監督になろうと思って会社を辞めました。営業をやっていて、このままじゃつまらないなと思ったんです。高校、大学と、文化祭の実行委員をずっとやっていて、皆で一つのものを作るのが好きでした。映画は総合芸術、表現の最高峰。どうせやるならそういうものを作りたいと映画の世界に入りました」

――作品では介護や日韓関係といった、複雑なテーマを正面から捉えています。

 「日本人っていま、自分事にならない限り他人事が強い国民性があるなと思っていて。向き合わなくてもそこそこ幸せでいられるけど、愚痴は多い。そこに向き合うというか、結局は自分自身と向き合うというのがテーマになっています」

――具体的に今回の作品で大事にしていた部分は。

 「監督としての責任感は今回相当ありました。石倉三郎さんの芝居って、チャキチャキじゃないですか。でも物静かでもすごい迫力ある人にしたかった。石倉さんは古き良き映画人なので、映画は監督のものだから、お前の言うことは何でもやると最初に言ってくれたんです。とはいえ気を使いますよね(笑)周りの意見を聞かないようになってはダメですが、自分がやりたいこと、自分の意見を持つこと。そして言うこと。監督は引っ張っていかなきゃいけない存在なんだというのはとても感じました」

――今回が3本目の長編作品です。

 「撮影は昨年だったので、20代のうちに結果を残したい思いがありました。脚本家も大学の学祭実行委員の友人。今回は彼と2人でやれたから、かなり綿密にできました。映画の実力としてはやっとスタートラインに立てたかなと思います」

  *   *   *

 『つむぐもの』では今後、若い人や介護職員に見てもらおうと自主上映する団体を募集する。詳しくは同作品の公式HP(http://www.tsumugumono.com/)へ。

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