横須賀・三浦 社会
公開日:2012.03.16
福祉バス「ルシア号」
「ルシア号」年度末に廃止へ
利用者減で見直し、シニアパスで対応
高齢者の社会参加と自立を援助するため、横須賀市が運行している福祉バス「ルシア号」が、3月末で廃止になる見通しだ。
ルシア号は1995年に運行開始。市内10コースを週1回、午前と午後に計4回運行している。通常のバスルートではなく、老人福祉センターなどを循環。利用は市内在住で60歳以上の人、障害者・療育手帳を有する人とその介助者。乗車時に福寿手帳などを提示し、無料で乗車できる。
その存続を含めた見直しのきっかけとなったのは一昨年、市が行った事業仕分け。「利用券配布など効率的な運営を検討すべき」など、仕分け人と市民評価委員の大半が『不要』と結論付けていた。さらに年間の延べ利用者数は、2008年度の3万8150人をピークに減少。市の実態調査による実質的な利用者数は750人程度とみられる。また、運行ルートによる乗車率の偏りもあり「自分の居住地区にルートがなく不公平」との声もあった。
事業予算は「シニアパス」へ
市では、2009年から限定の緊急経済対策として「はつらつシニアパス」を発行。今年度は市の事業として継続し、65歳以上の市民を対象に6ヵ月間、市内の路線バスが乗り放題となる「パス」を販売している(1万7千円)。今後は、事業担当を経済部から福祉部に移管したうえで、ルシア号の運行委託費(3千万円)をシニアパスの運営に充てることで、高齢者の需要に応えるとしている。だが「高台で交通の便が悪く、週に1度、このバスで外出するのを楽しみにしていた」と話す利用者も。廃止の一報に「シニアパス購入の負担は大きい」と残念がる。
開会中の市議会で正式に来年度の廃止が決まるが「年度の始まりまで数日しかなく、周知が図れない」と、実質的な廃止には時間を要するようだ。また「事業予算を移行するだけではなく、交通不便地を走る『地域コミュニティバス』の支援なども検討すべき」との意見も上がっている。
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