横須賀版 掲載号:2012年12月7日号
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田浦港町の廃線跡 偶然残った平面交差

軍港都市の面影を今に伝えている
軍港都市の面影を今に伝えている

 赤錆びた倉庫群が立ち並ぶ田浦港町地域。JR田浦駅から貨物の引込み線用レールが延びている。ここに直角に交わる平面交差「ダイヤモンドクロッシング」と呼ばれる場所がある。

 近年では鉄道ダイヤの過密化などにより同一平面上での交差が困難であることや交通渋滞を招く点から立体交差に移行。設置コストも立体の方が低いため新設される平面交差は滅多になく、貴重とされている。戦前に旧日本海軍が近辺の軍需施設への物資輸送に使用していたことから、いくつもの軌道が張り巡らされていた地域。戦後になると米軍に接収され、厚木基地へ航空機燃料を輸送する際に使われてきた歴史がある。その後、昭和50年代までは長浦港で荷揚げされた飼料などの貨物を陸へ運ぶ列車も走っていたが、2006年、一部米軍が使用する箇所を除いて廃止されている。

 平面交差は2つ存在している。1つはJR田浦駅から長浦の倉庫街を通り、米軍の箱崎燃料基地へと続いているもの。もう1つは、比与宇(ひよう)トンネルと長浦港倉庫街東側を結んでいる。

 横須賀市は今年8月から来年2月までの工期で周辺一帯で「長浦臨港線道路改良舗装工事」を行っている。既に整備が進んでいる吾妻川にかかる橋梁は撤去完了。踏切や警報機なども今後取り外される計画にあるが、平面交差だけが偶然残った。その理由について市道路建設課によれば「平面交差のある箇所については、もとから工事計画地の外だったためで、考慮したわけではない。残ったのは本当に偶然だった」と話す。

 以前まで行われていた水道管工事の実施では、一時的に地中に埋められてしまったこともあり、鉄道ファンの間では二度と見ることができないと心配されていたが、工事終了と同時に覆いが外され再び地上に姿を現している。

 軌道敷きがある周囲には「米国政府使用施設のため立ち入り禁止」の看板表示がいくつも立っている。車両が通らなくなった現在でも米軍の管理下に置かれているため、横須賀市でも協議なく自由に修復や撤去などを行うことができないのが現状だ。2度にわたる撤去の危機をまぬがれてきた2つの平面交差。しかし「全国的に見ても希少価値の高いものと把握はしているが、市としての動きは考えていない」と市担当者は話している。都市開発などで徐々に無くなりつつある平面交差は、鉄道ファンや廃線愛好家たちにとって、「田浦の廃線」は単なる線路ではない。今に残る珍しい歴史遺構として価値を見出しており、撮影などに訪れる人が後を絶たない。
 

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