でこぼこ道の子育て記 15.今の「努力」はどこまで?一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛
―現在の連載は10年ほど前、子どもたちがまだ小さい頃、介護をしていたときの経験を書いたものです―
若年性アルツハイマーと診断された義父と同居を始め、子育てと両立しながらの毎日を慌ただしく過ごしていた私。病気を受け止め、割り切るようになってからは、多少のことには動じず「これは病気のせい!」と状況を冷静に受け止められようになってきました。
毎日同じ生活リズムで、次第に義父はそれまで続けていた日記付けとドリルを嫌がるようになっていました。病気の進行によるものなのか集中力が続かず、「考える」という行為が億劫になっているようでした。
それでも私は、努力できるのは今しかないと、必死に励ましながら続けていたのですが、日に日に義父の抵抗は強くなり…ついには、ノートとドリルを隠してしまうように。どうしたものかと悩んだ私は夫に相談。「大変かもしれないけど続けるよう促して欲しい」と頼みました。ところが、その返答は「そこまでするのは親父が可哀そう」。確かに気持ちはわかります。だけど先のことを考えると、「今努力をしなければ進行してしまう、時間が経てばその努力すらできなくなってしまうかもしれない」―と必死に伝えました。それでも「嫌がっているのを無理にやらせたってしょうがない。進行しても仕方ないだろう」と意見は変わらず。
私は『自分の父親に、どうしてそんなに簡単に諦めるような事を言うんだろう。介護をするのは私なのに』―と、消化することのできない思いを抱えたまま、それ以上、何も言うことができませんでした。-次回に続く
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