でこぼこ道の子育て記 17.介護生活と「家族」の形一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛
―現在の連載は10年ほど前、子どもたちがまだ小さい頃、介護をしていたときの経験を書いたものです―
アルツハイマーの義父の介護で悩む私のとりとめのない話を、ただ静かに受け止めてくれた父。そして掛けてくれた一言のおかげで、自分の信じるやり方を貫こうと決心することができました。
義父のリハビリへの抵抗は相変わらずでしたが、私は「大変なことだよね、嫌になっちゃうよね」と声を掛けながら「でも、頑張ろう!」と励まし続けました。そんな日常を過ごしながら、私の中にはひとつの願いが芽生えていました。
結婚した頃、子ども3人は欲しい!と話していた私と夫。上の2人を年子で産んだのもそんな理由でした。しかし、義父の介護をしながら赤ちゃんの面倒を見られるだろうか? 普通に考えたら、とても無理。でも私は諦めたくなかった。自分がこの先も介護していくことは変わりません。それでも、自分が望む家族、将来を、諦めなくてはいけないのは違うのでは―と。夫婦で何度も話し合い、夫も最後は力強く頷いてくれました。大変なのは覚悟の上。自分が望むものは絶対に諦めたくない―。この不撓不屈の精神は、もはや私の性分なのかもしれません。
そんな私の元へ新しい命がやってきてくれたのは、それから間もなくのこと。不安ばかりだった気持ちが、この授かった命のおかげで、未来がパッと明るくなったように楽しみになったんです。そしてこの子(次男)が、私が辛い時に何度も何度も立ち直らせてくれる大きな存在になることを、この時の私はまだ知る由もないのでした。
-次回に続く
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