飲食業界が岐路に立たされている。ここ数年で顕著となった若者を中心とした「アルコール離れ」に加え、コロナ禍による宴会需要の激減など経営環境は厳しさを増している。回復の見通しが立たない中で、攻め込む余地のある未開拓分野が「飲まない・飲めない市場」の取り込みだ。下戸が集まるグループ「ゲコノミスト」の発起人で、著書に『ゲコノミクス 巨大市場を開拓せよ!』がある逗子市在住の投資家、藤野英人氏に聞いた。
──飲酒習慣に大きな変化が見られ、藤野さんの著書では「日本人の半分以上がゲコノミスト(酒を飲まない人たち)である」と記されています。このニーズ変化に飲食店関係者はどう動けばよいでしょうか。
「まず前提として、現状に対する背景を理解しなければならない。若者の酒離れは、『働き方改革』と密接な関係がある。例えば会社の忘年会。勤務時間外に開かれるため参加を強制できない。若者は上司と部下という力関係がある中での酒席を嫌う傾向があり、それを公言できる空気が生まれている。『忘年会スルー』といった言葉はその表れだ。健康を気遣う高齢者の間で『卒酒』『断酒』も広がっている。こうした流れに気付かず、酒類の提供を中心としたビジネスモデルにしがみついていては、売上げの減少は避けられない」
──コロナが収束してもこの傾向は変わらないということでしょうか。
「飲食店利用のニーズを含め、コロナが結果的に直近までの流れを加速させた。業務のIT化、テレワーク、雇用形態など、少しずつ変化していた社会全体の仕組みが大きく動いた。厄災が昭和的価値観を打ち壊した。打撃を受けているのは古い考え方やしがらみが色濃く残る分野。元には戻らないだろう」
──飲食業界では、大手居酒屋チェーンを中心に業態転換を急いでいます。
「飲む人も、飲まない人も居心地の良い空間の提供にシフトし始めている。親しい仲間、個人が食事を楽しむ場所で、アルコールも(・)提供するという発想の転換だ。そうした中で、下戸の私が提案しているのがノンアルコールドリンクのテコ入れ。感度の高い飲食関係者はすでにメニューづくりを進めており、ボタニカル(ハーブ・スパイス・果皮)をキーワードに、ノンアルのジンを炭酸で割ったドリンクやクラフトコーラなどが登場している。都内ではノンアルバーのオープンも話題を呼んでいる。ワインと料理の美味しい組み合わせを「ペアリング」と呼ぶが、これをノンアルドリンクに置き換えてみても面白い。ノンアルドリンクでは、客単価が上がらないというのは提供者側の思い込み。いわば市場の見落としだ。開発の余地はまだまだある」
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