全日本高校デザイン・イラスト展で内閣総理大臣賞(全国1位)を受賞した 岡山 奈央さん 港が丘在住 18歳
緻密に日常描く表現者
○…ドーナツのザラリとした質感、空洞の先で顔を覗かせるのは今まさにその大好物にかじりつこうとする幼い妹―。緻密かつ立体的に描いたアクリル画が日本一に輝いた。「授業の課題テーマ『細密画』のために描いた作品で、まさかこんなに名誉な賞をもらうなんて思ってもみなかった」と驚きを隠しきれない。
○…制作期間は約1カ月。「取材」と称し、大量に購入したドーナツをスマートフォンで何枚も撮影した。「とにかく美味しそうに見せたくて、写真をじっくり観察し、何度も色を塗り重ねた。終盤はお腹が空いてしまうほど写実的に表現できた」とはにかむ。モデルになった妹に絵を見せると「『これ私だよね』と気づいてくれて自信が持てた」と振り返る。
○…幼い頃は少女漫画の登場人物を描くのに夢中になり、中学では美術部に入部。「でもコンクールでは良くて佳作。もっと上手になって同級生をびっくりさせたかった」。高い志を抱き、美術部の名門・市立横須賀総合高校に進学した。憧れの校内に一歩足を踏み入れると、上級生が制作した絵画や造形物がずらり。「美術館のような雰囲気に圧倒されて、私にもできるのかなと不安になった」。以降、絵筆を走らせるのが日課になった。すると徐々に入選の常連になり、昨年には海中に棲む魚を精巧に描いたイラストが、京急バス停の看板デザインとして市から採用された。
○…高校生活も残りわずか。「イメージ通りに表現できずスランプに陥ることもあるけれど、絵を描く時が一番リラックスできるので、ずっと続けたい」。卒業後はデザイナーになる夢を叶えるため、服飾系の大学へ進む。「有名にならなくてもいい。小さな店でも私の作品を好きでいてくれる人に囲まれたい」
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