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横須賀・三浦 人物風土記

公開日:2026.01.30

自身の発達特性と向き合いながらアーティスト活動を行っている
田村 健さん
横須賀市平成町出身 29歳

  • 田村 健さん (写真1)

アートは内面の発露

 ○…画家としての現在地を示す個展を開いている。テーマは「冬」。雪景色に佇むキツネや切り絵のような質感を持つトナカイのアクリル画など、静謐で落ち着いた色調の作品を揃えた。

 ○…筆を握る原点は、生きづらさを抱えた少年時代。小学3年生の頃、自閉スペクトラム症と診断された。クラス替えの度に周囲と馴染めなくなり、からかいやいじめの対象となった。高学年になると不登校を経験。教室や社会との接点を失う中、唯一の救いとなったのが絵を描くことだった。「言葉でのコミュニケーションは苦手だが、絵なら没頭できた」。机に向かい、自分だけの世界を構築することが、孤独から逃れる唯一の手段となった。

 ○…成人後は就労の傍ら、「パラアーティスト(障害者アーティスト)」として活動を開始。大手企業のカレンダーに採用されるなど実績を重ねた。多彩な才能が集まる場で認められるには何かが必要となる。「障がい者アート」という枠組みを自身の存在認識のための「フック」として戦略的に活用した。だが、現在はその肩書きに複雑な思いも抱く。「障害があるから評価されるのではなく、純粋に作品を見てほしい」。福祉的な視点ではなく、実力で勝負したいという意欲と葛藤の狭間で揺れ動いている。

 ○…実は「スランプ」状態にあるという。10年程前の自由気ままに描いた未来都市の絵。「今はあの頃のような爆発的な明るさやエネルギーが降りてこない」。社会に出て様々な現実に直面し、無理に明るい未来を描こうとすると筆が止まってしまう。「エネルギーがしぼんでいて、心の中の静けさが今回の『冬』の作品に表れている」。でもそれは成長の証と前向きに捉える。「だから今の作品も嫌いじゃない」

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