でこぼこ道の子育て記 32.進む病状と寝たきりへの不安一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛
―現在の連載は10年ほど前、子どもたちがまだ小さい頃、介護をしていたときの経験を書いたものです―
外水頭症の手術を無事終えた義父。術後の体力低下を心配してしたが、もともと体が丈夫な人でしたので回復は早く、何より脳の圧迫が改善されたことで一時的ではありますが会話できるようになるという喜ばしい変化もありました。
しかし一方で、若年性アルツハイマーの病状は一気に進行。この病気は脳を使わなければどんどん進行してしまうため、約2週間の入院の間ほとんど寝て過ごして体や脳を動かさなかったことが、皮肉にも病気の進行を早めてしまう結果に...。手術を受けた病院からもとの精神病院へ戻ると、次第に義父は食事がうまく取れなくなっていきました。
症状が進んだことで、飲食物が食道へ呼吸は肺へと自動的に振り分けられる本来の機能が弱くなり、食べ物が間違って肺に入るなどして起こる「誤嚥性肺炎」の恐れが出てきたのです。高齢者や認知症患者の死因としても多いため、主治医の先生や家族と話し合い、心臓近くの静脈から栄養輸液を投与していく『中心静脈栄養』にすることを決断しました。
このまま寝たきりになってしまうのだろうか―。そんなことが頭をよぎりました。若年性アルツハイマーという診断を受けてからいろいろと勉強し、最終的にはそうなってしまうのか...と覚悟はしていたものの、思わぬ病気がその時期をかなり早めてしまったことに、やりきれない気持ちでいっぱいでした。そんな時、またひとつ、奇跡のような出来事が起こったのです。-次回に続く
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