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でこぼこ道の子育て記 33.「通じ合う」気持ち一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛

掲載号:2022年1月21日号

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―現在の連載は10年ほど前、子どもたちがまだ小さい頃、介護をしていたときの経験を書いたものです―

 手術や転院...そして中心静脈栄養への切り替えと、落ち着く間のない日々でしたが、実はこの頃、私にもとある変化が生まれていました。

 ある日、横になっている義父の顔が何となく穏やかに見えて、その傍らで目を合わせて声を掛けました。「おとうさん、私ね、赤ちゃんがお腹にいるんだよ。孫がまたひとり増えるんだよ」。反応を期待したわけではありませんでした。が、義父は目を丸くすると、私のお腹に手を伸ばし「良かったな!良かったよ!」と顔を綻ばせたのです。その瞬間の表情は、まるで病気なんてなかったかのような。私はびっくりして「おとうさん、わかるの?」──「ああ、よくわかるよ」。私はもう言葉にならず、ただ義父の手を握りしめながら、微笑んで頷くことしかできませんでした。時間にしたら、ほんのわずか。次の瞬間にはもう、表情も戻り、意味のない言葉を発したり、いつもの様子。ただ、時折思い出したように私のお腹に手を伸ばすのでした。嘘のような、本当の話です。

 振り返ると、義父に日常の他愛ないことを語りかけている時、ふとした瞬間に「あれ?通じてる?」と感じることが何度かありました。そんな時は夫に報告するのですが、まぁ信じてもらえず...(笑)。意思の疎通が難しい状態になっていても、確かにその瞬間は本物でした。今思えばそれは、介護を始めた時からずっと、日常的に寄り添っていた私への義父なりの労いだったのかもしれません。-次回に続く

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