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横須賀・三浦 コラム

公開日:2022.02.18

でこぼこ道の子育て記
34.義父との別れ一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛

―現在の連載は10年ほど前、子どもたちがまだ小さい頃、介護をしていたときの経験を書いたものです―



 アルツハイマー発症から約10年。入院してから6年経った、2013年12月。長い闘病生活の末、義父は天命を全うしました。その日のことは、今でも鮮明に思い出されます。



 前日の夜、私はなぜか寝付けず、布団の中で寝返りばかり打っていました。もともと寝つきは悪くはなく、疲れているはずなのに眠れない。そのうち外が少しずつ明るくなり、布団から出ました。すると、それを待っていたかのように電話が鳴りました。病院からの義父の危篤の知らせ。私はすぐに夫と子どもたちを起こして急ぎました。



 真っ先に病室へ入った私が「おとうさん!」と駆け寄った時です。ピ───という機械音とともに、心電図が止まりました。後から入ってきた夫や子どもたちも声を掛けましたが、それが最後のお別れ。看護師さんから「お嫁さん、今日まで本当によく頑張ったわね。お父さん、最後はあなたに見送られたかったのよ。本当に、お疲れさま」。そう声を掛けてもらった瞬間、私はその場で泣き崩れました。と同時に「あぁ、お父さんは全部わかってくれていたんだ」と。病気が進行し話しかけに無反応だったとしても、今まで私が必死になってやってきた事は全部、伝わっていたのだと。そう思ったら、今までの辛かったことや苦しかったことが、「もう、全部いいや!」と、報われた気持ちになりました。そして、貴重な経験をさせて貰えたことへの感謝を胸に「ありがとう」と見送ることができたのです。-次回に続く

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