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横須賀・三浦 トップニュース文化

公開日:2023.11.24

神奈川の名工
卓越した「職人技」表彰
横須賀市から2人受賞

  • 表彰を受けた木村さん(写真左)と大平さん

 優れた技能を通じ、産業発展や後進の指導育成に励む神奈川県内の技術者を顕彰する2023年度の「神奈川の名工」(神奈川県卓越技能者)に、美容師の木村洋子さん(73)と日産自動車(株)追浜工場勤務の大平幸治さん(58)の2人が横須賀市から選ばれた。

 ものづくりを中心に、さまざまな分野の技能者の社会的地位や技能水準の向上を目的として毎年実施されているもので、今年度は県内から27人が受賞。11月15日に県立音楽堂(横浜市)で表彰式が行われた。

着物文化を次代に

 根岸町2丁目で1986年から「チェリー美容室」を営む木村洋子さん。知り合いの美容師に憧れ、「パーマ屋さんになりたい」という幼い頃の夢を叶えて約50年、「これまで積み重ねてきたご褒美」と受賞を喜び笑顔を見せた。

 木村さんはカットやヘアメイクのみならず、厚生労働省認定の1級着付け技能士や全日本美容技術選手権大会金賞など着物着付けにおける高い技術と知識を持つ。県美容業生活衛生同業組合(KBKビューティーアカデミー)で着付けの指導員を長く務め、後進の技能向上に尽力している点が高く評価された。

 結婚式、成人式、七五三、お宮参りをはじめとする行事や式典、祝賀会などで着物は着る人の大切な節目や祝いの席を飾る。「1日中着崩れず、苦しくないように仕上げるのがモットー」と話し、妥協のない丁寧な仕事こそがプロの矜持だ。

 「着物を着ると背筋が伸びて気持ちがピシッとするのが魅力。ずっと触っていないと落ち着かなくて」と帯を使った布細工作りの趣味も日々の楽しみ。着物の良さ、連綿と受け継がれてきた日本文化、そして培った技術を若い美容師らに伝えたいと、「いつか教室を開くのが夢」と語った。

車の品質支える

 船越町在住の大平幸治さんは、同追浜工場で自動車用プレス金型のメンテナンスに関わる業務に長年従事する。日産一筋40余年。「国内外でさまざまな経験をしてきた。それらが認めてもらえたのではないか」

 横浜市出身の大平さん。幼少期から乗り物が好きだったこともあり、中学卒業後は横浜市内にある日産自動車の企業内学校に入学。寮生活をしながら基礎を習得した。

 入社して配属されたのが、現在も担当するプレス金型業務。車の土台であるボディのパーツのほとんどは1枚の薄い鉄板をプレス機で圧縮して作られ、加工不良の抑止やワレ・しわ・ひずみなどが発生した際の保守対応にあたる。マニュアル通りという概念はない技術職。「時にはパネルの気持ちになってみたり」と冗談めかすが、「真の原因を追究する諦めない気持ち」が品質を支える。

 工場内のほか、同社の海外拠点がある台湾、中国、タイに赴いて現地スタッフの教育にも尽力してきた。「1人前になるまで10年」と言われる中で「『これやれ、あれやれ』ではなく、何のためにやるのかを理解してもらうのが大切」と指導の心構えを語る。2025年3月に定年を迎えるが「もう少し指導できたら」と笑顔で話した。

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