還暦前にバイクデビューし、東北を目指したエッセイを上梓した 齋藤 博美さん 横須賀市西逸見町在住 59歳
何歳からでも遅くない
○…齢56にして125ccまでのバイクに乗れる免許を人生ではじめて取得した。卒業検定は教習を始めてから1年以上経過し、6度目で合格。通常より何倍も時間がかかったが、「諦めないようサポートしてくれた人たちのおかげかな」。ツーリングでは、道に迷うと何度も停車し街ゆく人に道を尋ねた。「なにも見返りはないのに助けてくれる。人の温かさに触れられるのもバイクの良いところ」と目を細める。
○…西逸見町出身。短大卒業後、約15年市内で保育士を、その後は多少の英語力を頼りに英会話教室で講師を勤めた。「苦手意識があっても楽しむことを第一に。そんなメッセージを伝えたかった」。還暦前に初心者ながらバイクに挑戦できた所以だ。
○…縁もゆかりもなかったバイク。きっかけとなったのは古くから知るバイク好きの友人の訃報だった。同窓会で少し会話をする程度で、特に親しいわけではなかったが、「わたしが乗ることで少しは弔いになるのかな」。元来、運動神経は良くなかった。筋力があるわけでもなかった。教習では何度もこけた。つらかった。それでも「もうやめたほうがいい」「この先は無理ですよ」。教習所の指導員や周囲の人はそんな言葉を誰もかけてこなかった。「周囲の理解と助けがあったからこそ頑張れた」
○…「三浦半島は本当に美しい」。生涯地元を離れたことはなかったが、バイクにまたがると、見える世界が変わった。潮風を感じながら下る坂道、ふとサイドミラーを覗くと顔を出す富士山、道中で出会う人の温かさ-。これまで知りえなかった景色や自身の感情をバイクが教えてくれた。挑戦心はいくつになっても忘れない。
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